『ベイビーわるきゅーれ』阪元裕吾監督(28)が明かす過酷な撮影
ゆるい殺し屋コンビにファンが熱狂中
高校を卒業したての少々社会性に乏しい殺し屋コンビ“ちさまひ”こと、杉本ちさとと深川まひろ。2021年の映画『ベイビーわるきゅーれ』と2023年の続編『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』では、女優の髙石あかりとスタントパフォーマーであり女優の伊澤彩織の名コンビが“ちさまひ”を演じ、“だらだらとした日常”と“ハードコアな格闘シーン”のコントラストが受け、映画ファンから「ここ数年で見た最高のアクション映画」などの声が挙がった。 【画像】阪元裕吾監督。 9月27日には最新作『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』の公開が控え、今秋にはテレビ東京で“連続ドラマ版”の公開まで発表されている。弱冠28歳の阪元裕吾監督に、映画最新作とTVドラマシリーズの制作秘話について聞いた。
撮影現場も過去最高のハードさだった……
――前2作の楽しそうなデザインから一転して、血まみれで倒れる“ちさまひ”が衝撃的な映画第3弾のポスターですが、内容もこれまでとは違った雰囲気なのでしょうか。 阪元 ポスターは僕は関わっていないので何も言えないですが、雰囲気としては、今までの緩いノリを継承しつつ、いろんな場所に行ってはちさまひが観光しつつアクションをし、という観光映画感を大事にしました。せっかく宮崎に行くわけですからそこでしか撮れないものを目指しましたね。物語的にもいままでよりもハードな内容となり、まひろの葛藤や、それに対してちさとがより彼女に深く接しようとするという物語を構築しました。 ――ファンとしては、シリアス路線化で“ちさまひ”のキャラクターが変わってしまうのではとの心配も出そうですね。 阪元 ふたりが揃って僕が脚本を書けば大丈夫だという自信はありましたが、劇中の世界観を逸脱した印象が出ないように、バランスにはとても気をつけました。鍵になったのが前田敦子さん演じる入鹿みなみという新キャラです。彼女は“ちさまひ”の会話に水を差す、先輩風を吹かせた嫌な役なのですが、彼女との関係性の変化もドラマのひとつになりました。実際ポスターのイメージよりもコメディ要素も沢山あるので、笑える映画には違いないという思いです。 ――新キャラで言うと、前作の丞威さんと濱田龍臣さんコンビを超える“最強の悪役”として、『シン・仮面ライダー』で主役を演じた池松壮亮さんが登場するのも驚きました! 阪元 池松さん演じる冬村かえでは、150人目の殺しに執着しているヤバい殺し屋で、ボロボロの服を血に染めながら襲いかかってくる危険な存在です。一方で、弁当を買ったのにお箸をもらえなくて泣く泣く手で食べたり、真面目に殺し屋鍛錬ノートを付けていたりと、妙に人間臭い愛嬌があるのが気に入っています。 この愛嬌をかえでに持ち込んでくれたのは池松さんです。脚本だともっと悲壮感に満ちた性格だったのですが、セリフを細かく変えたり標的を仕留めるシーンで満面の笑みでガッツポーズするアドリブ入れてくれたりと、一度見たら忘れられないキャラに整えてくれました。韓国映画『哀しき獣』に出てくるミョン社長のような、超暴力的だけど、愛くるしいキャラを目指しました。