「夫婦経営」も今や昔、事実婚やパートナーもコンビニオーナーに
(ブルームバーグ): 家族形態の多様化や人口減少などを受け、コンビニエンスストアの経営モデルが変化している。従来一般的だった「夫婦経営」に代わって、事実婚や同性パートナー、友人などと一緒に、あるいは1人でもフランチャイズに加盟できるよう、大手各社が間口を広げている。
ファミリーマートは30日、1人でのフランチャイズ経営を可能にする「ひとり加盟制度」の開始を発表した。開店時のフォローからスタッフ募集支援などを用意する。単身世帯の増加や労働力人口減少などを受けて導入を決めたという。同社は昨年4月、事実婚や同性パートナーにもフランチャイズ加盟の門戸を開いていた。
経済産業省の分類によると、コンビニとされる業態は営業時間が14時間以上の店舗となる。こうした事情もあって大手各社は安定した営業ができるよう、個人のフランチャイズ契約の際には、同一生計や3親等以内など2人での経営を原則としていた。
個人商店を経営していた夫婦のフランチャイズ加盟などもあり、コンビニの夫婦経営は定着した。ただ時代が変わり、単身世帯の増加や、オーナーの高齢化で店舗経営の担い手不足が懸念される。国勢調査によると、世帯員1人の単独世帯は2015年から20年の間で15%増加した。一般世帯に占める割合38%と最も多い。
28日に開かれたセブン&アイ・ホールディングス(7&iHD)の定時株主総会でも、独立を希望するセブンイレブン店員がジェンダーをはじめとするさまざまな理由で配偶者がおらず、フランチャイズ加盟ができない実態があるとの声が株主から上がった。
セブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長は、すでに社内で検討中であるとしたうえで、「今の時代に合った経営の在り方はどういうものであるのか、なるべく早い段階で結論を出していきたい」と返答した。
ローソンでもフランチャイズ契約の加盟条件には「店舗専従者2名」の条件があるが、広報担当者によると親族に限らず友人や知人同士の加盟も可能だという。現在募集は行っていないものの「ローソンキャリア独立制度」や「ローソンファミリー独立支援制度」など、1人でのコンビニ開業を可能とする制度も用意している。
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Akemi Terukina