SDV世界ランキング:1位はやっぱりテスラ、「予想外」のトップ5はどこ? 日本は…
今年のトップ5の顔ぶれで顕在化したSDVの得意分野
2024年のリーダーカテゴリーでは、ゾーンアーキテクチャーや洗練された最先端のSDVテクノロジーを導入しているOEM(相手先ブランドによる生産)と並んで、SDVの限界を押し広げ、イノベーションのためのプラットフォームを構築しているOEMも含まれた。 この分野は依然として、デジタルネイティブでソフトウェアファーストのアプローチを優先し、従来のプラットフォームやシステムを管理する必要がないというメリットを享受する、BEV(バッテリー電気自動車)のディスラプター(破壊者)によって大部分が支配されている。 逆に言うと、ガソリンなど内燃機関による車では全体の電力不足によりSDVのメリットを享受しにくいという点が浮かび上がる。
王者はやっぱりテスラ、トップ5はどこ?
2023年のスコアカードではスケールや財政的安定など、すべてのSDV評価基準をクリアした企業はテスラのみだったのが、2024年は、いわゆる「合格点」に達する企業が5社に増えたことが特徴だ。 ただし、今年の基準でもテスラのテクノロジーの熟練度、ビジネスパフォーマンスなどは群を抜いており、安定したSDV企業と評価されている。 ただし、差は縮まっている。たとえば今年の評価基準ではデスラプティブ・イノベーターとして最高の評価を得たのは、中国のニーオ(NIO)とシャオミ(Xiaomi)だった。中国でのEV価格競争が激化し、テスラが掲げていた販売台数が目標に達していない点もマイナス評価となっている。 特にシャオミはスマホメーカーとして知られているが、3月に発売を開始した同社初のEV「Xiaomi SU7」(スーセブン)により、マルチセンサリー、エッジデバイスによるディープ・インテグレーション、IoTエコシステムというSDVの新たなセグメントを生み出した点が高く評価された。こうしたSDVの新たなカテゴリーで対抗できているのは現時点ではニーオのみとなる。 SU7の車載OSはシャオミ独自の「HyperOS」で、車両はもちろん、同OSを搭載するスマホやタブレットをシームレスに統合し、瞬時に車載アプリケーションに変えることができる。また、iOSの接続を可能にする専用のピンポイント拡張接続部があり、iPadやiPhoneのプラグアンドプレイ機能もサポートしている。 一方、4位に食い込んだ中国の新興EVメーカーであるシャオペン(Xpeng)は、中央化されたコンピューティングをベースとしたE/Eアーキテクチャーモジュラーを採用。これによりモビリティにAIを導入するフロントランナーとなった。 また、中国国内ではOTAによるアップデートが非常に頻繁に行われていることが知られている。独フォルクスワーゲンとの提携により、財政上でも安定が得られることもプラスポイントだ。 リビアンは、テスラのライバルを目指す米国の新興EVメーカーだが、ゾーニングアーキテクチャーの採用によりトップ5の座を獲得した。こちらもフォルクスワーゲンから50億ドルの財政的支援を受け、財政的に安定したことが高く評価された。さらにリビアンはテスラも目指すソフトウェアライセンスの提供という新しいビジネスモデルにも挑戦している。