【中村蒼さんインタビュー】映画『アイミタガイ』ちょっと頼りないけれど、そばに居てほしい絶妙なキャラを好演!
愛すべき“澄人”の作り方⁉
優しいけれど単なる優しい人で終わらない魅力、クスッと笑ってしまいたくなる澄人のチャーミングさを、どんな風に作っていったのでしょう。そういうものも、中村さんが演じたからこその空気や人となりになっていくのだと思いますが。 う~ん、その辺は自分でも意識したことがなくて……。そういうのって自分だけで作れるものではなく、監督や(梓役の)黒木華さんと一緒に現場でやっていくうちに、少しずつ出来上がっていくんじゃないかな、と。人間性みたいな部分って、いわゆる小手先の技術でどうにか出来るものじゃないと思うんです。だから僕が出来ることと言えば、そういうこと(梓に「これからも一緒にいたい」と思わせたい気持ちや、澄人の優しさ)を常に忘れないように、本当にそう思いながら演じる、ということでした。 例えば背中の丸め方や嬉しそうな小走り、立ち姿だけでも、そこに“その人”が出るものだと思います。そういう“身体性”って、何か意識されたことはありますか? 照れくさい話ですが、ずっと“その人=自分”になっている感じですかね……。最初はなんとなく意識して、“こうかな?”と思いながらやっていくわけですが、そのうちに自然と、ずっとその人になっているというか。そうなると身体もついていく感じがします。 今回の現場では、監督から何か言われたこともなく、役について深くお話ししたわけでもなく、自由にやらせていただきました。現場で俳優がまず演じ、それを活かす形で調整をしてもらって撮影が進んでいく、という感じでした。
自由度が高い現場という以外に、初めてご一緒した草野監督はどんな方でしたか。監督の前作『彼女が好きなものは』(21)も大好きだったので……。 とても物腰が柔らかく、程よい距離感を保つ方でした。演出についても、答えを出して演出するのではなく、“こういう想い”とか“こういう状況”ということだけを伝え、本番に入っていく感じでした。解釈に余白を持たせて、こちらに芝居をやらせてくれる監督という印象です。 澄人が指輪を買いにジュエリーショップに行くシーンが、なぜか印象に残っています。キラキラして優しくファンタジックな空気が流れているようなシーンでもあって。 確かに少しそんな感じはありましたね。でも実は、澄人が一人の時にしか出せないもの――本当は人知れず悩んでいて、何か彼女の心の奥に届くものはないだろうかと探している、そんなシーンだと思ったので、澄人の本当の姿が少しだけでも垣間見えたらいいな、と思いながら演じたシーンです。