【中村蒼さんインタビュー】映画『アイミタガイ』ちょっと頼りないけれど、そばに居てほしい絶妙なキャラを好演!
映画『アイミタガイ』ってこんな物語
名古屋でウェディングプランナーとして働く梓(黒木華)と、東京でカメラマンをする叶海(藤間爽子)は、中学時代からの大親友。いつも明るくエネルギッシュな叶海は、悩みがちな梓の背中を押してくれる頼れる存在だ。しかし久しぶりに会って話をした数日後、叶海は撮影のため向かったパプアニューギニアで事故に遭い、命を落としてしまう。親友の死、交際相手の澄人(中村蒼)との結婚にも踏み出せず、生前の叶海と交わしていたトーク画面に、変わらずメッセージを送り続けていると、ある日一斉に既読がついて……。
原作、または脚本を読まれた感想を教えてください。 実は、タイトルでもある“アイミタガイ”という言葉自体、本作を通して「なるほど、そういう言葉があるんだな」と、日本語の美しさも感じました。そして物語は、それぞれの点と点が線に結ばれていく感じ、最終的には全てが繋がっていく展開が、すごくいいなと思いました。みんなが前を向けるような、とても素敵な物語です。自分でも想像もしていないようなところで、実は誰かに支えられていたり、助けられたりしているものなんだなと改めて感じました。
愛する人や親しい人を亡くした時、遺された人はどうするのか、どう再生していけるのか、ということが一つの柱になっています。 もちろん人は誰でもいつかは絶対に死ぬわけですが、梓にとって親友が不慮の事故で亡くなるというのは、あまりに唐突で、それを受け入れられない状況に陥ってしまいます。僕は、身内を亡くしたことはありますが、梓のように“突然、目の前から消えてしまった”経験はないので、僕自身そんな時、どうすればいいのか分からないのですが……。 僕が演じた澄人もまた、彼女をどうやって励ましていこうか人知れず悩んでいます。大切な人の死という、あまりに大きな問題が起きると、些細なことさえ口に出来ないような雰囲気になってしまいがちですよね。でも澄人は、梓をそっとしておきながらも、親友の死という問題にも触れて、触れた上でしっかり向き合おうとする。そして、これから先も一緒にいたいという思いをちゃんと伝えるんです。そういうことが出来る人間は、本当に素晴らしいなと思いました。 確かに、澄人の優しさは“スゴイ!”と言いたくなるほどです。梓に冷たい態度を取られることがあっても、嫌いになったり拗ねたりせず、誠実に真正面から支えようとする。簡単に出来ることではないよな、と。 普段は“ちょっと頼りない”と梓からも言われいますが、肝心なところでは、ちゃんと逃げずに向き合おうとする。本当に人として素晴らしいと思います。言葉にするのを避けてしまいそうな問題にも、恐れずに向き合おうとすること自体、やっぱり簡単には出来ないですよね。 あの手この手で梓をサポートしようとするし、しかも澄人は真面目なだけじゃなくて、ちゃんとユーモアも持ってるんですよね。一見、頼りないし、タイミングも悪いけれど、そういう面があるからこそ、梓も澄人と長く付き合ってきたんだろうし……。だから僕も演じる際、梓に「これからも一緒に過ごしたい」とちゃんと思わせないとダメだなと、その辺りは意識して臨みました。