プロが選ぶ「声が良い」女優、現役No.1は? ベスト女優(3)お手本のような声…専門家が絶賛する逸材は?
男性は目で恋をし、女性は耳で恋をする―。作家ウッドロー・ワイアットが遺した格言だ。しかし、声が重要なのは何も男性だけではない。「印象の4割は声による」という説があるように、女性にとっても武器になりうる。そこで今回は声の専門家に「最高のイケボ女優」の選出を依頼。女性ならではの声の魅力を語ってもらった。第3回。(取材・文:司馬宙)
松たか子
―――舞台女優や歌手としても活躍されている松たか子さんの名前を挙げていただきました。 「『アナと雪の女王』(2013)のエルサ役でおなじみですね。「個人的に松さんは、舞台にも歌にも精通した正統派のミュージカル女優というイメージですね。 一般的に、歌と舞台だと身体の使い方が違っていて、歌ではいかにノイズを減らすか、舞台ではいかに声を響かせるかが重要になってきます。その点、松さんは、息だけでなくしっかり声も出ていて、高音も低音もよく鳴っている。身体の使い方が本当にお上手なんだと思います」 ―――松さんは、音楽プロデューサーの日向大介さんから「純粋な音楽家になれる素質があった」というお墨付きをもらっていますが、歌い方はいかがでしょうか。 「クセがなくて誰にとっても聞きやすい印象ですね。石田さんの歌声もそうですが、ニュートラルで『声のすっぴん度』が高いから、変幻自在なんですね。ちなみに生徒には、『レット・イット・ゴー~ありのままで~』(『アナと雪の女王』のメインテーマ)を聞く時は、MayJ版ではなく松たか子版を聞いて、と言っています。それくらい、お手本のような歌声です」 ―――ちなみに松さんは、2015年に第1子を出産され、約3か月後に舞台に復帰されています。妊娠は声質に影響するのでしょうか。 「かなり影響しますね。妊娠中は、1年近くお腹に5キロの重りをつけているようなものなので、呼吸もしにくいし、骨盤も開いてしまっている。それが、出産と同時に一気に元に戻るので、出産前の声の出し方を忘れてしまう人もいると思います」 ―――アーティストの中には、出産後数日でコンサートに復帰した方もいらっしゃるようですが...。 「それは、かなり無茶ですね(笑)。元の声に戻るまで、休養はじっくり取った方がいいと思います」 【日本美声チューニング協会 三浦人美会長 プロフィール】 発声解剖学をベースにした声を出しやすい身体に整える美声チューニング®を提唱。20代はバンドのボーカルとして芸能事務所へ所属。年間300本のライブをこなし歌い続けた経験の中で発声・姿勢・呼吸等、身体のアプローチから声を変えていく手法を実践。バンド活動の終了後は、講師として稼働をスタート。人前で声を扱うことが多い企業代表や芸能事務所所属のアーティストレッスンまで延べ3,000人以上の方を指導する。
司馬宙