ユーロ圏の流動性リスク、伝統的指標では見えない恐れ-バークレイズ
(ブルームバーグ): 英銀バークレイズのストラテジストは、ユーロ圏の準備預金の水準を示す伝統的指標は有効ではなく、金融引き締めの影響を見えにくくしていると指摘した。
欧州中央銀行(ECB)は、超金融緩和時代に金融システムに注入された過剰流動性の吸い上げに追われているが、広く注視される流動性のシグナルが今年に入りほとんど動いていない。これについてバークレイズのユーロ金利戦略責任者ロハン・カーナ氏は「レジームチェンジ」だと表現し、基調的な流動性逼迫(ひっぱく)が覆い隠される恐れがあるとの見方を示した。
金融機関の無担保翌日物借入コストを反映するユーロ短期金利(ESTR)は長い間、ECBの預金金利を9.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下回っている。過剰流動性がピーク時から3分の1減少して3兆2000億ユーロ(約541兆円)となったことを踏まえれば、この格差は縮小するはずだ。
カーナ氏は、短期資金調達コストが急上昇し始めるような準備預金の水準について触れ、「誰もが短期金融市場の分岐点がどこかを見いだそうとしている」と指摘。ただESTRはECBの預金金利を何年も下回り続ける可能性が高く、ここから手掛かりを得ようとするのは間違っているとの認識を示した。
政策当局者にとってのリスクは、この指標を必要以上に重視することで、流動性を過剰に取り除いて市場にストレスを与かねないことや、短期市場金利に対するコントロールさえ失うことだ。
確かにECBは政策の影響把握に向け「多くの指標」を注視しているとカーナ氏は語る。その中には、レポ金利に加え、週次および月次の資金供給オペへの参加レベルも含まれる。オペ参加は現時点でかなりの低水準にとどまっている。
原題:Barclays Warns Europe’s Key Rate Is Masking Liquidity Risks (1)(抜粋)
--取材協力:James Hirai.
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Alice Gledhill