<ボクシング>敗れたタイ人が「和氣は亀田より強い」
ボクシングのIBF世界Sバンタム級王座の挑戦者決定戦が10日、後楽園ホールで同級6位で、東洋太平洋同級王者の和氣慎吾(27歳、古口ジム)と、同級3位のマイク・タワッチャイ(29歳、タイ)の間で争われ、和氣が最終ラウンドにダウンを奪うなど、圧勝の展開で3-0の判定勝利。IBF王者のカール・フランプトン(英国)は、7月に米国で防衛戦が組まれているが、早ければ年内にも、和氣が、その勝者に挑戦することになった。もしフランプトンとの対戦になると、英国のボクシング好況事情から敵地挑戦が濃厚だが、和氣陣営は、臆さず英国へ乗り込む構えだ。
12ラウンドの残り時間を示す掲示板が「0」を示していた。その瞬間、和氣の左ストレートが見事なカウンターになってタイ人の顔面を捉えた。タワッチャイは、まるでスローモーションのように崩れた。場内の「慎吾コール」に押されるようなフィニッシュブロー。だが、タイ人は気力をふりしぼって立ち上がってきた。そこで試合終了。惜しくもKO勝利とはならなかったが、ジャッジの2者が「119―108」と11ポイント差をつけるほどの圧勝だった。 左目の上が、ざっくりと切れたタワッチャイは、ふらふらになって、控え室にたどりついた。彼は、2012年8月に亀田大毅と、55.0キロ契約でノンタイトル戦を戦い、途中ボディでダウンを奪われたが、立ち上がって判定負けしている。スーパーバンタムは、55.34キロといえ、スーパーフライ級の亀田大毅と和氣を比べるのは、ある意味ナンセンスなのだが、タイ人は「これまで戦ってきた日本人の中で、和氣が一番強かった。カメダダイキとは、階級が違うが、明らかに和氣の実力が上。和氣の方が強い。左のストレートにアッパーが効いた」と、マスコミ受けするようなことを言った。 序盤からスピードが違った。サウスポーとリーチ差を活かした距離から左ストレートを叩きこみ、タイ人がインサイドを伺うとアッパーで止める。序盤からボディを攻めなかったのが物足りないが、終盤には右ボディを続けてめりこませてロープを背負わせた。 途中、コーナーの古口会長が「もう倒せ!」と、何度もゴーサインを送ったが、KOで決着をつけれなかったことを和氣も悔やんだ。 「パンチは一発ももらわなかった。パンチも当たるのにつめが甘い。本当は後楽園卒業を宣言したかったけれど、こんな内容じゃ、まだまだ言えない。タフな相手も倒せる力をつくりあげていきたいと思う。これに勝てば、世界だ!とは意識しなかったが、ここからやっと世界の舞台に立てる。でも浮かれてはいられない。(世界挑戦の)チャンスは一回だと思っている。自分でつかんだチャンス。絶対にものにしたい」