「弟の絵がドラマに登場するなんて夢のようです」 チューリップが描けるまで3年かかった自閉症の画家 作品がTBS金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」に
宏介さんは2012年、兄の太田信介さん(50)と一緒に、アートビジネスを起業した。親亡き後の経済的自立を目指してのことだったが、今では年に6回の個展を開くほど人気の画家になった。 ■3歳で「自閉症」と診断された 1981年6月に誕生した宏介さん。3歳児検診で、自閉症と知的障がいがあることが分かり、療育施設「コスモス学園」(当時)に通うことになった。 母 太田愛子さん(75)「初日に園長先生から『とにかく子供を褒めて認めて、受け入れて下さい。子どもは物凄く敏感です。注意されたことで、自分はダメだーと殻に閉じこもってしまうんです。全てを受け入れてやさしい言葉で接してあげてください』と言われました。学園で教えてもらった粘土遊びが気に入って、3時間でも4時間でも一人黙々と粘土遊びに集中するような子供でした。粘土遊びの手つきが良くて『この子、器用なんだ』と思ったんですよ。上の子2人はとても不器用で絵なんか描きませんし…(笑)。でも宏介の手先を見た時に『こんなに器用なら何かできることないのかな?』と考えたんです。」 一方で、急に大声を出して走り出したり、極端な偏食だったりと、自閉症特有の行動には悩まされていた。 そうした中、「宏介が何かできるようになれば…」と一縷の望みをかけて訪れたのが隣町に出来たばかりの「松澤造形教室」だった。 母 太田愛子さん「教室を主宰する松澤佐和子先生からは最初、『障がいのあるお子さんを見させてもらったことはないから無理です』と断られました。でも先生にお会いした時『絶対この人だ』と直感し、逢うだけでも…と宏介を教室に連れて行きました。どうかおとなしくしていてくれますようにと心の中で祈っていましたが、靴を脱いだ途端パーッとリビングに入り、テーブルやピアノの上をぴょんぴょん跳ね回りましてね。もうだめだ…と思っていたら先生が『お母さん、明日からどうぞいらしてください』と仰ったんです。」