生田絵梨花、初の地上波連ドラ主演で実力を証明 『素晴らしき哉、先生!』で“愛され力”発揮
「教師をやっている」と言われると、「いい人なんだなぁ」「真面目なんだろうなぁ」と思ってしまう自分がいる。それはきっと、今まで関わってきた先生たちが、美しい部分だけを見せてきてくれたからだと思う。 【写真】うっすら涙を浮かべ笑顔を見せる生田絵梨花 でも、実態はそんなことはなくて。『素晴らしき哉、先生!』(ABCテレビ・テレビ朝日系/以下『すばかな先生』)のりお(生田絵梨花)のように、裏アカで生徒の愚痴を書いてみたり、クラブに行って鬱憤を発散したり、教師同士で悪口を言い合ったりすることもあるのだろう。 大ヒットドラマ『silent』(フジテレビ系)でも、手話教室の講師をやっている春尾(風間俊介)が、「いい人そう」と言われて、「そういう刷り込みがあるんですよ。偏見っていうか。手話、耳が聞こえない、障がい者、それに携わる仕事、奉仕の心、優しい、思いやりがある。絶対いい人なんだろうなって勝手に思い込むんですよ」と返す場面があった。 “聖職者”と言われることもある教師。「先生だから、ちゃんとしなければいけない」という思い込みにとらわれてしまうのは、こういった周囲からの無言の圧力が影響しているのかもしれない。『すばかな先生』を観ているとき、幾度となく春尾の台詞が頭のなかに浮かんだ。 教師の素晴らしい部分だけでなく、リアルな部分に焦点を当ててきた『すばかな先生』。個人的に、7月期放送のドラマのなかで、上位に食い込む“推し作品”だった。 SNS上でも高評価を集めていた本作を、座長として引っ張ったのが、生田絵梨花だ。前クールに放送されていた『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系/以下『アンメット』)で話題を集め、満を持しての地上波連続ドラマ初主演となった。
対極に位置していた生田絵梨花のパブリックイメージとりおのキャラクター
乃木坂46時代の生田は、全方位完璧の無敵アイドルという感じで、どんなに忙しくても、カメラを向けられるとすぐに笑顔を作り、ファンをホッとさせるような、まさに“安心して推せるアイドル”というイメージがあった。そんな生田のパブリックイメージと、りおのキャラクターは対極に位置していたように思う。明るくて、みんなから好かれる……という点では似た部分があるのかもしれないが、やさぐれていたり、大きな声で愚痴を言ったりと、アイドルとしては見せてこなかった面を、りおとしてさらけ出さなければならない。 また、りおはビジュアル面も、回を重ねて悩みごとが増えるにつれ、どんどん荒んでいった。中絶を決意して産婦人科に行く場面なんかは、髪の毛はボサボサで、ほぼすっぴんのままマスクで顔を覆っていたり。美しい部分だけでなく、汚い部分も見せなければならないりおというキャラクターを、生田は最後まで見事に演じきっていた。 「こんな先生いたらいいな」「こんな友達がいたらいいな」「こんな同僚がいてほしい」「娘にはこんな子に育ってほしい」などなど。りおが視聴者から愛されるキャラクターに成長したのは、生田が持つ愛され力があったからこそだと思う。 悩んだ挙句、未婚の母になる決断をしたりおは、教師を続けられるのか。それとも、辞めなければならないのか。どちらの道を選ぶにせよ、最後はりおのとびきりの笑顔が見たい。そして、その横には生徒たちの笑顔があってくれたらいいなと願う。
菜本かな