【村上佳菜子スマイルレポート】坂本花織の4連覇、さまざまな成長見せた鍵山優真…スケーターの熱意と意地が詰まった全日本選手権
【村上佳菜子スマイルレポート】 フィギュアスケートの全日本選手権は22日に全競技を終了した。男子は鍵山優真(21)=オリエンタルバイオ・中京大=が大会初優勝、女子は坂本花織(24)=シスメックス=が大会4連覇を果たした一方、男女ともにジュニア勢の台頭も目立った。今季前半の大一番で目立った演技はどんなものだったのか。プロフィギュアスケーターで2014年ソチ五輪女子日本代表の村上佳菜子さんが総括した。 ◆村上佳菜子『新婚の食卓』【写真】 全日本選手権のリンクにはさまざまなドラマが映し出されます。誰が表彰台に上がってもおかしくなかった今年は、スケーターの熱意と意地が詰まっていました。 女子は坂本花織選手が大会4連覇を達成しました。最終滑走のフリーは風を感じるくらいの勢いを覚えました。しかし、これまでとはひと味違うスピード感があったのではと思います。たくさん滑ってジャンプを跳ぶということに加えて、ターンやつなぎといったジャンプと違う部分をしっかり見せての速さでした。 もちろん、ジャンプも年々ダイナミックさが増しています。その上で、いろいろなターンや動きを加えて演技全体にさらなる勢いを出す。今季は「チェンジ」というテーマを掲げていますが、レベルアップを十分に生かした変化を感じました。 2位の島田麻央選手は全日本の独特な空気感に慣れてきたと思います。落ち着いて演技していました。フリーで冒頭の大技を決めきれませんでしたが、その後の内容をしっかりまとめました。日頃の練習の成果を感じました。3位の樋口新葉選手は若い選手が台頭する中でのオリンピアンの強い意地を感じました。 男子は優勝した鍵山優真選手の安定感が光っていました。フリーの冒頭で跳んだ4回転フリップは「うまい!」とうなるほど素晴らしい出来栄えでしたし、スケーティングや表現力の部分でメリハリをつけていました。簡単にトップスピードに入った後、スケーティングで緩急をつけるというのはなかなかできないことです。さまざまな成長を見ました。 2位の中田璃士選手、3位の壷井達也選手も見事な内容でした。中田選手は全日本で雰囲気にのまれがちでしたが、今年は世界の舞台での経験を十分に生かしたのはないでしょうか。壷井選手はパワーをコントロールできるようになって、演技にシャープさが出てきました。今後に期待します。 今季の世界選手権は冬季五輪の枠取りが懸かります。日本代表に決まった選手の滑りを見ると、男女最大3枠の確保は心配ないと思いますが、高い集中力を持って臨んでほしいです。 (プロフィギュアスケーター、ソチ冬季五輪日本代表)
中日スポーツ