「大量の長ねぎをみじん切り中に突然の芸能界入り宣言」反対した父を振り切って上京したものまね芸人・山本高広が親の立場になって今思うこと
── 反対されていたお父さんの反応はどうでしたか? 山本さん:テレビに出られるようになってからも、私の前では露骨に喜ぶような態度はみせませんでした。父は、テレビ番組はNHKと『日立 世界ふしぎ発見!』しか観ない人なので、私がテレビに出ているのも見たことあるのかどうか…。 でも、連絡を取っていた母や妹には、「高広は東京でちゃんとやれているのか、ご飯は食べられているのか」としょっちゅう聞いていたみたいです。心の中ではずっと心配してくれていたのだと思います。
── 密かに応援してくださっていたのではないでしょうか。 山本さん:そうですね。そういえば、一度だけ父がテレビに出たんです。明石家さんまさんの特番で、芸能人の両親について特集する番組だったのですが、それに父がVTRで出演して。しかもVTRの最後に、私がよくやる織田裕二さんのものまねの「きたー!」ってやったんですよ。あれは心の底から驚きましたね。そして「東京で頑張れ」「織田裕二さんへの感謝を忘れるな」と言ってVTRで応援してくれました。
今、自分が父親になってみて、子育てって本当に大変だと実感しています。最近の子育てはタブレットを使えたりと便利になった部分も多いですが、私が小さいころはもっと大変だっただろうと思いますし。両親にここまで育ててもらったことは、本当に感謝しています。 PROFILE 山本高広さん やまもと・たかひろ。1975年、福岡県生まれ。織田裕二、ケイン・コスギなどのものまねを得意とするものまね芸人。声優としても数多くの吹き替え映画やドラマ、アニメなどに出演。調理師免許を持っている。 取材・文/酒井明子 写真提供/山本高広
酒井明子