パートで商社の「経理事務」をしています。同じ仕事なのに、同僚の「派遣」の人のほうが「400円」も時給が高いと知り不公平に感じています…なぜ派遣の待遇のほうが良いのでしょうか?
同じ職場で同じ仕事をしている同僚が、自分より高い給与をもらっていると知ったら「どうして?」とモヤモヤする人も多いでしょう。確かに派遣労働者の時給は、直接雇用のパートより高めに設定されているケースもあるようです。 本記事では、派遣労働者の賃金の決定方法や派遣・直接雇用それぞれのメリットについて解説します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
派遣労働者の時給はなぜ高い?
派遣労働者の時給は、通常のパート労働者の時給より高めだといわれています。それは本当でしょうか? ■派遣労働者の時給はどのくらい? 日本人材派遣協会が実施した2021年度の派遣社員Webアンケート調査結果によると、図表1のとおり、オフィス系(デスクワーク中心)の派遣労働者の時給平均は1500円~1750円未満が41.4%と最も多く、続いて1250円~1500円未満が30.7%という結果でした。 図表1
一般社団法人 日本人材派遣協会 派遣社員の賃金と派遣料金 これは、パート労働者の平均時給1367円(厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査)に比べると、やはり高めの金額です。なぜ派遣労働者の時給は高いのでしょうか。 ■派遣労働者の賃金の決定方法 派遣労働者の賃金は、派遣先の労働者の待遇を考慮した「派遣先均等・均衡方式」、または派遣元の労使協定による「労使協定方式」により決定されます。厚生労働省のデータによると、約9割の事業所が労使協定方式を採用しているようです。 労使協定方式では、派遣元事業所と派遣元の過半数組合(または派遣社員を含む労働者の過半数代表者)の話し合いにより労使協定を結び、派遣労働者の待遇を取り決めます。この場合、派遣労働者の賃金は、厚生労働省が毎年公表する「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」以上にしなければなりません。 基準となる一般労働者の賃金は「基本給・賞与・手当等」「通勤手当」「退職金」ごとに、それぞれ算出方法が定められています。例えば通勤手当については最低基準額が72円/1時間とされています。通勤手当の支給がない場合や上限が設定されている場合は、この額が確保されるよう派遣労働者の賃金を決めなければなりません。 その結果、派遣労働者に通勤手当が支給されない場合は通勤手当分72円(2024年度)を、派遣元に退職金制度がない場合は、基本給や賞与等の5%相当額を、それぞれ時給に加算することになります。このように賃金に通勤手当分や退職金分などが含まれることが、派遣労働者の時給が高くなる一因です。 また「繁忙期の短期間だけ人手が欲しい」「企業が求めるスキルを持つ人材が欲しい」など、派遣先のニーズに応える働き方であることも、派遣労働者の時給が高い理由です。