デビュー3年目の大久保友雅騎手、ニュージーランドで武者修行「G1勝つまで帰らない」決意
今回の「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」は、大阪・奥田隼人記者が、ニュージーランドで武者修行している大久保友雅騎手(21)に「現状」を聞いた。 デビュー3年目の今年1月末から日本を離れ単身、異国の地で腕を磨いている。競馬漬けの日々や日本競馬との違い、今後の展望などを報告する。 ◇ ◇ ◇ 1人の若手ジョッキーが、自分を変えようと海の向こうで研さんの日々を過ごしている。デビュー3年目の大久保騎手は、1月末にニュージーランドへ飛んだ。JRAでの勝ち鞍はここまで3勝。現状打破のために選んだのが、海外での武者修行だった。 日本との時差が3時間(サマータイムは4時間)のニュージーランドは現在、冬真っただ中。現地トップステーブルのT・パイク厩舎を拠点に、関係者らと4人でシェアハウス生活をしながら競馬の知識も吸収している。現地の日本人騎手である浅野一哉、橋詰大央、熊谷勇斗の3騎手からもいろんなノウハウを教えてもらっているという。 「朝は4時半から調教にまたがっています。今は冬のシーズンなので1日10頭前後ですが、夏のレースが多いシーズンは多い時で1日15頭くらい乗っていました」 調教後は息つく暇なく、9時から自費で通う語学学校へ。各国から集う生徒に交じって授業を受け、午後3時の終業後は再び木馬練習やトレーニングに励む。「大変ですが、めちゃくちゃ充実しています」。自分を変えるために、努力は惜しまない。 現在はレース騎乗に必要なライセンスを取得している段階。交付条件である現地で最低3カ月以上の調教騎乗期間をクリアし、こちらも取得に必要な英語検定「IELTS」(アイエルツ)の基準スコア(英検で準1級~1級相当)もようやく獲得した。まもなく申請中のライセンスが交付される見込みで、8月から始まるシーズンでの騎乗を心待ちにする。 日本の競馬との違いも肌で感じる毎日だ。 「全然違いますね。若馬の頃から体のつくりが違いますし、日本にいた時の感覚だけでは通用しないところがあります。レースの面では、こっちにきて思ったのはすごいタイトだということ。日本よりも(馬と馬の間隔が)きゅうきゅうでシビアですし、この競馬に慣れることができればという思いは強いです」 先日の安田記念をロマンチックウォリアーで制し、今年のロンジンワールドベストジョッキーでもトップを独走するJ・マクドナルド騎手はニュージーランド競馬出身。現在、大久保騎手は“J・マック”もデビュー当時に基礎を作ったケンブリッジの同じトラックで調教をこなしている。 日本を出る際には「期限を決めずに」と、強い意志を語っていた大久保騎手。今後については「大きな目標を言えば、G1を取るまでは基本的に日本へ帰らない気持ちです。それでも何年後になるかは分からないですが、ゆくゆくは日本でも活躍したいと思っています」。日本と反対の南半球で、ひたむきに掲げる夢へ向かう21歳。これからの進化に注目だ。 ◆大久保友雅(おおくぼ・ゆうが)2003年(平15)6月1日、滋賀県生まれ。父は新谷厩舎の裕章調教助手。祖父は大久保正陽元調教師。22年3月に栗東・池添学厩舎からデビュー。同5月15日中京8RキゾクでJRA初勝利。23年4月にフリーへ所属変更。JRA通算283戦3勝。163センチ、47・4キロ。 (ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)