働きすぎだけが原因ではない…「過労自死」のヤバすぎる実態と「発生メカニズム」
長時間労働+パワハラが引き金に
実際、自殺未遂に追い込まれた経験があるという20代男性Aさんに話を聞いた。 「病院の電子カルテを扱うIT系会社に新卒入社し、そのシステムを開発するプログラマーとして働くことになったのですが、プログラミングはまったくの未経験。最初からいきなり市販のプログラミング入門のテキストだけ渡されて、『自分で勉強しながら業務をこなして』と指示されました。 当然わからないことだらけなので、上司に質問しても『自分でちゃんと調べてから聞いてこい』『こんなこともできないのか』といった暴言を言われ、同じ部署の先輩からも指導はまったくありませんでした。毎週のように土日祝日関係なく終電まで残業が半年間ほど続き、体力的にも精神的にも限界で自殺未遂にまで追い込まれました」 過労自死が起きてしまう要因は個々のケースにより様々だ。しかし、労災請求されたケースを分析すると、ある傾向がわかってきたと小森田氏はいう。 「過労死と過労自死のどちらも長時間労働が前提条件としてあります。その上で過労自死に特徴的な要因として、過重なノルマやノルマの未達成、パワハラやいじめなどの対人問題が大きく関わっていることが研究でわかってきました。たとえば、ノルマをクリアできず上司から激しい叱責を繰り返し受けることで否定的な評価を内在化し、『自分はダメな人間だ』と思い込み、うつ状態になってしまう。そして、死への願望(希死念慮)が発生するケースが多く存在するように思います」(小森田氏) 後編『「なぜ日本人は死ぬまで働き続けてしまうのか」…日本社会に潜む「歪みの正体」』では、過労自死に至る日本社会の構造に迫る。
週刊現代(講談社)