コーチが怒らない野球チーム「野球を楽しむために、大人が邪魔しない」
■選手、保護者は…
選手からは野球が楽しいという声が聞かれた。また「前向きな声かけをしてもらったらうれしいので、自分が声を出す時も、そうしている」という選手も。試合中、ピンチに陥った投手に声をかけた内野手に後から聞くと「ツーアウトだよ。あとアウト1つだよ。大丈夫」と言ったそうだ。中桐代表は、よく「ピンチの時、一番ストライクを入れたいのは、その投手本人だ。ストライク入れていこう!ではなくて、どう声をかけるといいか考えて」と言っているのだ。ある選手は学校の先生から「○○くんはクラスで、いつも前向きな声かけをしている」と感心されたという。 野球経験のある保護者も「こどもが野球を楽しめている。ここ(アークス)だから良かったと思っています」と話す。
■自分で考える人間を育てる
中桐代表は、こどもと接する中で「大人が描く正解を探りに行く子」が多いと感じている。学校や社会で、そうした子が「いい子」だと見なされがちなので、大人の期待に応えようと、こどもはそう振る舞っているのではないか。しかし、今後必要なのは、大人の指示通りに動く人間よりも、自分で考える、次の一手を考える人間ではないかと話す。 練馬アークスのメンバーは1年生から6年生まで44人。入部希望者が多く、現在募集を停止している。こどもを中心に据え、怒らないチームの需要が高まる中、供給が足りていないのではという。最後に、中桐代表に「こどもが野球を楽しむためには」と問うと、答えはこうだった。「大人が邪魔をしないことですね。大人が、みんな邪魔しちゃってると思うので」