異国での復帰戦に臨む赤林檎　（本人提供）

　　9月27（金・現地時間）メキシコ・モンテレイにて、元女子日本バンタム級王者・赤林檎こと中井麻美（日本＝29）が、日本を出国して以来、約1年ぶりの試合［バンタム級戦 8R］を行う。相手はプロ3戦無敗の新鋭マリア・フェルナンド・オルテガ（23=メキシコ）。 　中井は昨年「海外には強いやつがいっぱいいる」と”JBCを引退”し、単身メキシコに拠点を移していた。 　今月7日にはメキシコで日本人の女王・葉月さなが優勢ラウンドを30秒以上も早く終了させられ物議を醸していたが、赤林檎は取材に「本当に倒すしかない」とKOで”アウェイ洗礼”を乗り越える。 【フォト】現在の腹筋バキバキな赤林檎！抜群のスタイルでラウンドガール姿も 　中井は、国内では赤林檎のリングネームで活躍。元MMAファイターで、DEEP JEWELSなどで戦った。21年4月にプロボクシングに転向すると、22年4月にWBO女子アジアパシフィック バンタム級王座をKO勝利で獲得、昨年4月には日本女子同級王座をこれもKO勝利で獲得していた。 昨年4月赤林檎がKO勝利で日本タイトルを獲得 @akaringo1027 　しかし7月にJBCが突然引退を発表、すると中井はSNSで「アメリカ行く！引退（JBC）やねん」と海外での現役続行を示唆。取材では「どうせ世界戦待つなら、ワクワクするような試合しながら掴みに行きたい。世界以外やりたい奴もいない日本に固執する必要なんかない」と語っていた。 　過去に海外修行で訪れていた米国を拠点にしようと動いていたが「不法就労する疑いで入国拒否」されてしまう。米国のプロモーターも動いてくれたと言うが「VISA申請に時間がかかるので断って」、過去に修行を行っていたメキシコへ行くことに。 　メキシコには「ビザも仕事も日本人のつてもライセンスもプロモーターも無かった」が、現地の友人を頼ってメキシコシティの郊外に居住することに。現在、練習は「近所の森を走ったり、近くのボクシングジムで練習します」と変わらずの”野生児”ぶりだ。 　トレーナーに「試合がしたい」と言うと、今年6月に決定したが、7月に延期に。さらに興行自体が「メキシコシティのコミッションの問題で」中止となってしまった。 「切り替えて楽しむ」と気丈に過ごしていたが、ついに今月27日の試合が決定となった。 　海外にはニックネームがあるが「ファイトスタイルからVENENO (毒)に命名されました」と言う。 　相手のオルテガは、23歳の新鋭で3戦無敗。元々1階級上のフェザー級の選手で、今年7月の前戦では1R KOで倒しており、メキシコファイターらしいアグレッシブな選手だ。 　中井は相手について「めっちゃ強いですね！」とコメントも「どっちが生き物として強いか、それだけですからね、野生にいきます」とアグレッシブでは負けないとする。 　初のメキシコでの試合に「選手層が厚い分、チャンピオン以外も強いので楽しみ。色々あって試合が出来なかったが、やっぱり自分は戦ってないとダメ、やっと戦えるのが嬉しくて待ち切れない。久々に思いっきり暴れてこようと思います」と爆発する気満々だ。 　アウェーでの不安は無いのか。今月7日にはメキシコ・ベラクルスで行われたWBCシルバー・アトム級王者・葉月さなが判定負けで陥落、相手をダウン寸前まで追い込むも30秒以上ラウンド終了を早められ機会を逃したという事件があった。 　中井は「私もエキシビジョンですが露骨に私が負けるようにされたり、メキシコはそういうのが多いので、倒しに行きます。以前はそういう判定が多いなら倒せばいいやんって思ってましたが、倒すところまで行かせないこともある。でもやることは変わらず、倒すしかないですね！」と完全決着でアウェーの不利もぶち壊す。 　この試合の先について尋ねると「もちろん世界を獲ることですが、想像してなかった未来を楽しみながら生きること。自分が戦いたい場所で戦うだけ」と自由奔放なまま世界を獲ると意気込んだ。 　中井は異国の地で世界戦まで突き進むことが出来るか。今回の一戦は『SHOWY TV』でPPV観戦することが出来る。 （取材/文＝遠藤紘史、編集＝イーファイト編集部）