廃棄物から“ラグジュアリー”スニーカーを作るヘレン・カーカムとは何者か
WWD:デザインで重視していることは?
カーカム:最初に見たときに「かっこいい靴」と思ってもらい、よく見ると「いい靴」と思える靴とは何かを模索している。そのための小さな要素がたくさんあり、例えば小さなラベルを付けたり、かかとの裏の部分に靴紐を付けたりするような単純なことでさえも、全ての部品がどこから来ていて、どのような過程をたどっているかを示している。
古いスニーカーを解体していたとき、スニーカーの内側の多くは、製造工程の都合上ジグザグに縫い合わされていることに気付いた。私たちは、誰も目にすることのない靴の内部――スニーカーがどのように作られているのかーーについても製品を通じて紹介したいと考えた。
アウトソールは、オーダーメイドのスニーカーを作るときに感じる、継ぎ接ぎしたような感覚と、実際につなぎ目がぎこちなくなる点を表現している。
WWD:素材は全てリサイクル素材なのか。
カーカム:アッパーは全て回収した廃棄スニーカーの材料を、その他は工場に依頼して作っており、インソールは90%がリサイクルフォームで、アウターソールは30%リサイクルゴムを活用している。
リサイクルポリエステルのラベルのように、私たちはできる限り多くのリサイクル素材を使うようにしている。また、工場から排出される廃棄物の利活用にも積極的に取り組んでおり、その多くがスエード仕上げされていない白色の革の裏側だ。工場にはこの材料が靴ひもを通す穴のパーツをつくるために大量にある。私たちはある意味、既存の製造工程をハックできる点を探してきたんだ。
トレンドではなく、廃棄物に左右される製品作り
WWD:カラーバリエーションが増えている。
カーカム:卸売りは今回が3シーズン目で、新色を発表するのは2回目だ。新色はリサイクルセンターに集まる靴の色から決めている。クールでしょう?つまり私たちの製品はトレンドに左右されるのではなく、そのプロセスに左右されており、これは非常に珍しいことだと思う。