覚醒剤密売1億円売り上げも「追徴金、とても払えない」…暗号資産化などで膨らむ未収
被害者救済進まず
追徴金を徴収できないと、被害回復も進まない。 被害者は、民事訴訟で被告に損害賠償を請求できるが、費用や手間がかかり、ハードルが高い。このため、特殊詐欺や出資法違反などの組織犯罪を念頭に、被告から追徴金を徴収した場合、その事件の被害者に分配する「被害回復給付金支給制度」が06年から設けられている。 だが、23年の支給決定額は全国で23事件計12億8700万円。救済されないままの被害者が数多く存在する。 追徴金制度に詳しい北海道大大学院の横浜和弥准教授(国際刑事法)は「諸外国では、有罪判決がなくても犯罪収益とみられる財産を積極的に剥奪(はくだつ)する仕組みがある。日本でも幅広く犯罪収益を取り上げる制度を検討すべきだ」と指摘する。