「俺がちょっと見せるわ」井岡一翔の言葉に救われた堤駿斗 計量失敗から立ち直り元世界王者に圧勝
◇プロボクシングWBA世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦10回戦 ○同級9位 堤駿斗(志成)<TKO8回>同級14位 レネ・アルバラード(ニカラグア)●(2024年12月31日 東京・大田区総合体育館) プロボクシングのWBA世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦が行われ、アマ13冠で同級9位の堤駿斗(25=志成)が元WBA同級王者で同級14位のレネ・アルバラード(35=ニカラグア)に8回1分55秒TKO勝ちした。序盤からスピードで勝って多彩にパンチを打ち分け、8回にメッタ打ちにしてレフェリーストップ勝ち。前東洋太平洋フェザー級王者の堤はプロデビューから6戦全勝(3KO)を飾り、世界初挑戦へ大きく前進した。 試合後、堤はジム先輩の前WBA世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(35=志成)に祝福され、抱き合って喜んだ。4月の前戦は前日計量で1.6キロの体重超過を犯して半年間のライセンス停止処分。その際、井岡から「次は俺がちょっと見せるわ」と言葉をかけられたそうで、実際に井岡は7月のフェルナンド・マルティネス(33=アルゼンチン)との王座統一戦で一歩も引かずに激しく打ち合う姿を披露した。 「男としてのプライドを見せてもらいましたし、(マルティネスに判定負けした)あの後も“はい上がるわ”と言ってくださって、先輩が挑戦してるんだから俺もここでやめて逃げちゃダメだなと」 体重超過後は何度もボクシングをやめようと思ったが、井岡や志成ジムの仲間、支えてくれている人々から励まされた。「ここで軽々とやめても、応援してくださった方々への恩返しには絶対にならない。(リングに)上がって、また試合して、日本のボクシングは面白いなと、ちょっとでも見る人を増やしたり、思ってもらう子供たちを増やしていくことが自分の仕事かなと思った」。どん底の中で改めてボクシングと向き合い、復活ロードを歩みだした。「本当に自分はボクシングが大好きなんで、楽しみがなくなったら人生何をしていいか分からないぐらいなので」と真剣な顔で言い切った。