人気小説をコミカライズ!「死の予兆」察し能力を武器に近世の戦場を駆け抜ける『マスケットガールズ!』【書評】
前世の記憶と「死の予兆」を持って転生したら、あなたならどうするだろうか? 前世の記憶と「死の予兆」を持つ主人公が異世界で運命に立ち向かう物語『マスケットガールズ!~転生参謀と戦列乙女たち~』(漂月:原作、飛鳥あると:漫画、sakiyamama:キャラクター原案/主婦と生活社)。「小説家になろう」の人気小説をコミカライズしており、原作ファンからも高い評価を得ている。
前世で過労死した「俺」が転生したのは、近世風の異世界シュワイデル帝国。ユイナー・クロムベルツとして転生した主人公は、「死の予兆」を察知する能力を駆使しながら、戦列歩兵が銃で撃ちあう戦場で戦うことになる。やがて数々の功績から歩兵少尉となり「死神クロムベルツ」の異名で疎まれるようになった。先の戦いでの戦功を評価され、第六特務旅団への“栄転”が決まる。 しかし、新たに配属された第六特務旅団は、士官としての教育を受けていない素人同然の女軍人が寄せ集められた旅団だった…。そこでクロムベルツは、知性溢れる女性アルツァー・メディレン大佐の参謀として旅団の女性たちを訓練し、戦略を巡らし戦いに臨んでいくことに。 転生物がブームの昨今だが、本作は他作品とは違う新鮮な設定が多い。まず、転生物はゲーム・ダンジョンなどが舞台となることが多い中、近世の戦場に転生するのは珍しい。さらに一般的な転生物の主人公といえば、最強のスキルを持ち転生先で無双したり、ハーレム系として女性からモテモテになったりするイメージが強いだろう。クロムベルツは「死の予兆」を感じる能力はあるものの、最強スキルを持ち合わせているわけではない。山積みの問題を前に、実直に物事に向き合いながら着実に成果を残していくのだ。第六特務旅団も女性ばかりの環境ではあるが、ハーレム的展開で事が順調に進むわけではない。一人ひとりと真摯に向き合い、訓練を行っていく様に読者は共感し、心を惹きつけられるのだろう。 一味違った転生物を楽しみたい方におすすめしたい作品だ。クロムベルツとともに、知略を巡らせてみてはいかがだろうか。 文=ネゴト / fumi