市和歌山 勝利へ指導陣タッグ 4人で2年 硬軟、役割分担 最高のプレー引き出す /和歌山
<第91回選抜高校野球 センバツ高校野球 躍動の季節(とき)> 23日開幕の第91回選抜高校野球大会に出場する市和歌山は、半田真一監督(38)をはじめとする4人の指導者が一丸となってチームづくりに取り組んできた。公立校の野球部としては手厚い態勢で、選手の調子や練習方法、試合運びなどについて日々緊密にコミュニケーションを取りながらチームとして最高のパフォーマンスを目指す。呉(広島)と対戦する開幕試合(23日午前10時半開始予定)も、4人がタッグを組み、「チーム市高」で挑む。【後藤奈緒】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 市和歌山を引っ張るのは半田監督のほか、岩本悠部長(34)と、野手担当の南方拓磨(26)、バッテリー担当の舩津直也(26)両コーチの3人。 半田監督は市和歌山商(現市和歌山)OBで2004年に赴任し、野球部コーチを経て12年に監督に就いた。商業科教諭でもあり、今回で甲子園は春夏通算4回目となる。岩本部長は県立桐蔭高野球部元主将で、母校でコーチを務めていた2015年に21世紀枠でセンバツに出場。その後、市和歌山に異動し、16年から保健体育教諭の傍ら、部長を務めている。 南方コーチは半田監督がコーチ時代の選手で、同年、保健体育講師として母校に赴任。舩津コーチは県立那賀高で捕手を務め、市和歌山に着任した17年4月から今のポジションにある。 4人そろって指導するようになり、間もなく丸2年。1日の練習メニューを決める際も、南方コーチが「シートバッティングで投手を投げさせてもいいか」と尋ねれば、投手を日々見ている舩津コーチが疲労具合などを考慮して「今日は投げさせないほうがいい」などとアドバイスし、時々の状態に合わせたメニューを組む。練習後はグラウンド脇にある監督室に集まり、各選手の様子などを共有し、今後に生かす。 熱血指導の南方コーチが練習で選手を叱責した時には、舩津コーチがフォローするなど役割分担し、厳しい指導と良い雰囲気づくりを両立させている。岩本部長もチーム運営の仕事の傍ら、練習ではノックで選手を鍛えている。 先月、センバツでベンチ入りする選手18人を選んだ際も、4人は故障から復帰した選手を入れるかどうかなど、幅広く意見を出し合って決めた。 見解が食い違うこともあるが、岩本部長は「話し合うことで最適な指導法を探ることができている」と意義を話す。4人による指導について、南方コーチは「僕たちにとっても選手たちにもベスト」と歓迎し、舩津コーチも「誰かが一人欠けてもセンバツには行けなかった」と強調する。 半田監督は年下の南方、舩津両コーチの意見を先に聞き、2人が話しやすいよう心がける。「自分は逆三角形の一番下で支えているイメージ」と表現し、「それぞれの立場で指導に力を発揮し、チームが機能的に動いている」と力を込めた。