大阪 街のホテル敷地内で野菜収穫体験「ほかと違う魅力を」
競争の激しいホテル業界では今、各ホテルが独自で様々な取り組みをして、集客に工夫を凝らしている。そんな中、大阪で敷地内に無農薬野菜を育てる農園をつくり、収穫体験などを実施しているホテルがあると聞き、訪ねてみた。 【拡大写真】「この日を待ってたモン」くまモン大阪でファンと涙の抱擁
こうした取り組みを行っているのは、大阪市淀川区のホテルプラザオーサカ。大阪でも屈指の飲み屋街がある「十三」に近い街中に位置するが、同ホテルの「プラザファームイベント」は、野菜の収穫体験などを通じ、食育活動として地域に貢献しようというのが目的で、今夏で4回目となる。農園ではトマト、キュウリ、なす、オクラ、水菜など様々な野菜を育てており、収穫体験だけでなく、講師による野菜セミナーや野菜料理も楽しめる。 同ホテルの菅原真太郎取締役(30)は、「元々は熊本地震が起こった時の復興支援だった。私自身、小学校1年生の時に阪神淡路大震災を経験してますので、熊本県産のものを応援する被災地イベントを催したんです」と振り返る。 同県産の無農薬野菜を全国に広げる活動を行っている「土のめぐみ」(本社:熊本県、土田賢一代表)とタイアップし、プラザファームを昨年5月にオープン。同年7月に第1回目のイベントを行った。 「野菜がすごく美味しくて、私自身も再確認するきっかけになった。それで地元の子どもたちに何かもっと野菜の美味しさを知って欲しいと思ったんです。都会では野菜を獲る機会もないし、野菜を嫌いな子もいるので、農園をつくって食育に貢献できればと考えたんですよ」(菅原氏)
取材日には、熊本県からくまモンもかけつけいた。くまモンが物産展などを含め同ホテルに来るのは4回目だが、ファームのイベントとタイアップしたのは今回が初めて。「会いたかった~」などと、子どもたちだけでなく、お母さんも大喜びだった。 「農園は大きくないので、親子でマックス20人です。親御さんからもよかったという声はいただいています。収穫体験のあと、場所を移動して簡単なセミナーをやり、今回は野菜を使ったスイーツづくりとハンバーガーづくりを子どもたちに体験していただきました」とのこと。 吹田市から来ていた主婦(40)は、「主人と子どもと3人で参加しました。土のめぐみさんの野菜を10年以上買っていて、美味しいんです。それも知ってますし、野菜を畑で収穫する機会もないですから、子供にも知って欲しくて。ホテルでこういう取り組みをしているところは珍しいでしょう」と、話していた。
同ホテルは創業32年。地下1階、地上19階で、総客室数653。ホテル業界の動向についても尋ねると、菅原氏はこう話した。 「ここ2、3年くらいは、インバウンドの影響もあって、かなり好調でした。しかし、この半年くらいは、民泊の影響やホテルが増えすぎたため、少し稼働率が落ち、翳りが見えている部分がある。今後、まだホテルは増えると言われてますので、熾烈な闘いになるでしょう。我々としては、泊まるだけでなく、他のホテルと何か差別化できるようなイベントなどを開催していくことで、お客様を増やしていきたいなと思います」 (文責/フリーライター・北代靖典)