新連載「AIだけで作った曲を音楽配信する」。生成AIが作り上げた架空バンド「The Midnight Odyssey」を世界デビューさせる、その裏側
マスタリングで最終調整を実施し配信する
次に、バウンスが終了した音源を「WaveLab Pro」というマスタリングソフトに読み込んで、最終調整を行います。 通常であれば、この段階でもイコライザー、コンプレッサー、ミッド・サイド処理など様々な作業を行いますが、今回は、各楽曲のレベル感統一、ラウドネス調整、リミッター処理だけにとどめています。 通常の音源制作の場合もそうですが、筆者の場合、録音からマスタリング作業に到るまで、各楽曲を数十回、曲によっては100回以上聴き込みながら作業を進めます。もしかしたら、楽曲生成を行った松尾氏よりも多く聴いているかもしれません。 今回の作業は、ステム音源の音質など制約が多い中での作業でしたが、筆者自身とても楽しんで進めることができました。 The Midnight Odysseyのファーストアルバム「The Odyssey of Echoes」は、3月30日からApple Music、Spotify、YouTube Music、Amazon Musicを初めとした主要ストアを通じワールドワイドでリリースされました。 AIが作った音楽というバイアスを取り除いて聴いても楽曲として普通に楽しめるアルバムに仕上がっていると思います。果たして、星の数ほど存在するサブスク楽曲の大海のなかに埋もれてしまうのか、それとも、一定の評価を受けることができるのか、とても楽しみです。 余談ですが、The Midnight Odysseyのカバーバンドを結成したくなりました。で、そのカバー曲を録音して正式リリースなどしようものなら、現実と虚構の境界線が崩れていくようで、ワクワクするではありませんか。
山崎潤一郎@TechnoEdge