「バント生きた」巨人・阿部監督の執念 代打・小林が導いたサヨナラ劇「ぶれずにやっていきます」
◆日本生命セ・パ交流戦 巨人1x―0ソフトバンク=延長12回=(29日・東京ドーム) 【動画】やったぜ!吉川尚輝がサヨナラタイムリー! トンネルの出口まで長かった。本塁が遠かった。今季球団最長4時間29分の大激戦。球団史上初のシーズン3度目の0―0引き分け目前で、12回に21イニングぶりの得点をもぎ取ってサヨナラ勝ち。巨人・阿部慎之助監督(45)は「本当に遠い1点だったと思いますけど、勝ったんでうれしいです。この勝ちはすごく大きいなと思います」と全員の執念が詰まった白星を喜んだ。 総力戦だった。8回から11回までの4イニングで毎回の9残塁。12回、相手の守護神・オスナに対して先頭の丸が左前安打で出塁すると代走・オコエを送った。次打者の投手・平内の代打・小林が送りバントで1死二塁。続く吉川が初球で決めた。「誠司(小林)のバントも生きたんだと思います」。24人が出場し、ベンチに残っていたのは投手の船迫と捕手の喜多だけだった。 前日28日の交流戦初戦は6回無死一、三塁からオコエのセーフティースクイズが決まらず、3安打完封負け。一夜明けた2戦目も打線が苦戦した。「だからノーアウト一、三塁でセーフティースクイズやるんですよ。その気持ちは分かってください」。生みの苦しみを味わった先に、勝利という最高の結果が待っていた。 5月は22試合で44得点、1試合平均2得点。試合後、攻撃陣について阿部監督は「奮起をどう促していいか教えていただきたいなと思います。ほっといたらいいのか、昭和っぽく気合入れた方がいいのか、そのへんはちょっと指導者として分かりません。練習するしかないです、打てない人は。それのみだと思います」と素直な胸の内を明かした。 深刻な得点力不足ながらも貯金2で踏みとどまっているのは、投手陣の奮闘があるからこそ。強力ソフトバンク打線相手に先発・堀田が6回途中無失点と好投し、大江から平内まで計8投手の無失点リレーに「本当もう、ピッチャー全員で勝てた」と拍手を送った。 打撃陣がもがく今、バントで送るところは送って、1点ずつ重ねていくしかない。「そうしていかないとチャンスはないですし、打たせたらゲッツーの山ですし、野球って難しいなって思いながら見たりサイン出したりしているので。そこは爆発するか分からないですけど、何とか野手で勝ったという試合を1試合でも多くつくってほしい」と願いつつ、「こういう勝ちはデカいし、1点もぎ取るんだっていう野球を僕はぶれずにやっていきます」と引き締めた。劇的勝利を良薬にしたい。(片岡 優帆)
報知新聞社