ガッカリする“人工芝ティーイングエリア” 今後も天然芝から切り替えるゴルフ場が増えるってホント?
天然芝をいい状態で保つには費用がかかる
練習場とは異なり、ゴルフ場は天然芝から打てるので「ラウンドに来た!」という実感を覚える人も多いのではないでしょうか。 【写真】ベテランも意外と間違っている! これが正しいバンカーのならし方、レーキの置き方です ところが最近、ティーイングエリアの芝に人工芝を導入しているところが増えているようですが、実情はどうなのでしょうか。
ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。 「実際、天然芝のコンディション不良が続くゴルフ場では、ティーイングエリアを人工芝に切り替えるところは増えてきています。人工芝といっても、プラスチックであることが目に見えてわかるようなシンプルなものではなく、テニスコートで使われているものに近い、きめ細かなタイプが多く採用されています」 「コースの進路はさまざまな方角に変わりますが、南側を向いているティーイングエリアには日光が届きやすい反面、北側を向いていると日光は当たりにくくなります。また、ティーイングエリア周辺に木々が生い茂っていると風通しが悪くなり、このような場所の生育環境は好ましくありません」 「芝がダメになったからといって毎年張り替えるのは手間や時間だけでなく、費用もかかるので非効率的です。そこで人工芝を張ることで天然芝の傷みとそれに伴うコース管理の負担を和らげる取り組みが行われています」 河川敷のゴルフ場で人工芝のティーイングエリアを見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。「人工芝だとティーが刺しづらい」というイメージを持っている人も少なくないはずです。しかし最近では芝の隙間にゴムチップをまいた上にさらに目土をかけることによって、ティーを刺しやすくしているそうです
異常気象で人工芝のティーイングエリアは増える恐れ
今後ティーイングエリアを人工芝にするゴルフ場は、さらに増えていくのでしょうか。 「通常、ティーイングエリアに使われる芝はコーライ芝をはじめとした暖地型の芝であり、日本の暑い夏にはそれなりの耐性があるとされています。しかし近年の夏は『酷暑』が続き、この冬も暖冬が予想されます。過酷な気候条件によってコーライ芝であっても弱ってしまうリスクは十分にあり得ます」 「人工芝はゴルファーに喜ばれるものではないため、避けているゴルフ場も多くあります。しかし、芝の修復費用によって経営が圧迫されては元も子もないので、人工芝に切り替えるところは増えてくるのではないかと思います」 日本のゴルフ場は全体的にスプリンクラーなどの散水設備が乏しいとも言われています。いまだに散水車や手作業で水をまいているところも多いようです。そうなると、散水すべき場所へ水が行き届くまでに時間がかかり、作業が入る前に芝が傷んでしまうケースが発生します。今後このような設備が充実しない限り、ティーイングエリアに人工芝を導入するゴルフ場はどんどん増えていくかもしれません。
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