死の4時間前、ナワリヌイ氏に何があったのか?「身柄交換交渉」の内幕を検証した プーチン氏、交換に「私は『賛成する』と答えた」
ナワリヌイ氏が立ち上げた「反汚職闘争基金」幹部のマリヤ・ペフチフ氏は2月26日、ユーチューブに投稿した動画で、ナワリヌイ氏の死の直前、交換交渉が最終段階を迎えていたと主張した。 ペフチフ氏によると、交渉でロシアが釈放するとされたのはナワリヌイ氏とロシアで拘束中の米国人2人。一方、欧米側の釈放対象はロシア連邦保安局(FSB)の元大佐ワジム・クラシコフ受刑者だった。同受刑者は、2019年にベルリンで、ロシア南部チェチェン共和国で独立派武装勢力の一員だったとされる男性を殺害した罪で、ドイツで終身刑の判決を受け服役している。 クラシコフ受刑者については、プーチン氏は2月8日に公開された保守系テレビFOXニュースの元キャスター、タッカー・カールソン氏とのインタビューで、「愛国的な理由から」欧米で犯罪を行い服役中の人物を取り返す必要があり、欧米側と交渉が行われていることを明らかにしている。 しかし、ペフチフ氏はプーチン氏が最終的にナワリヌイ氏が自由になることを望まず、同氏の殺害を指示したと主張。欧米側はクラシコフ受刑者の釈放に前向きで、同受刑者との交換対象としては、ロシアで拘束中の別の人物を提案する予定だったという。
ペフチフ氏の主張に対し、ロイター通信は、プーチン氏がナワリヌイ氏解放を望まないなら、最初から交換交渉を拒否すれば良く、その点にはペフチフ氏は触れていないと指摘している。 ▽仲間を見捨てない 3月8日になり、ロシアの調査報道ニュースサイト「アゲントストボ」は身柄交換交渉の事情を知る4人の情報源の話として、交渉の詳細を報道した。 それによると、2月16日、ナワリヌイ氏が死亡したことが報じられた時刻の約4時間前、プーチン氏はアブラモビッチ氏と会談し、身柄交換の提案に同意すると述べた。 ロシアが釈放に同意したのは、ナワリヌイ氏に加え、ともにロシアで拘束中の元米海兵隊員ポール・ウィーラン氏と米紙ウォールストリート・ジャーナルのエバン・ゲルシコビッチ記者だった。 プーチン氏はクラシコフ受刑者の釈放を重要視しており、その理由はいかなる場合であれ、ロシアが政権に忠実な仲間を見捨てることはないことを知らしめるためだったという。