「ホンダの時代が来た」 CEOが語るEVの未来 世界で存在感を示せるか
「お家芸」のエンジンも諦めない
メガキャストを開発しているのはホンダだけではない。すでにテスラでも採用されており、トヨタとボルボも間もなく量産車に導入する予定だ。そのためか、記者が栃木を見学した際にホンダは、摩擦攪拌接合やCDC接合など他の技術にも力を入れていた。これらは剛性と効率性を高めるためのもので、マージナル・ゲインのマントラに当てはまる姿勢だ。 栃木で行われているのは、新しい生産方式の開発だけではない。ホンダは、内燃機関モデルと0シリーズを同じ工場で生産できるようにするため、新しい「フレックスセル」という方式で生産ラインを見直すことも検討している。 フレックスセルは、基本的に自動車の生産工程を1つの長いラインではなく、いくつかのセルに分割することで、需要が変動した場合に異なる車種間で生産能力を柔軟にシフトできるようにするものだ。 そのためには、部品や組み立てられた自動車を工場内でどのように運ぶか、高度なAIの知恵も必要となる。 0シリーズの一番槍となるのが、2026年に登場するサルーン(1月に開催されるCESでさらなる情報公開が期待できる)の量産モデルで、エントリーグレードの航続距離は480km以上で、「スポーティ」なハンドリングの実現を目指している。 ハードウェアと同様に重要なのが、新しいソフトウェア・プラットフォームだ。多くの自動車会社がそうであるように、ホンダも新機能や特性をアップデートできるソフトウェア定義型自動車に焦点を当てている。 ホンダの発想は大胆だ。例えば、ユーザーがVRヘッドセットを装着し、友人と一緒にバーチャル同乗走行できるようなシステムを構想している。 もちろん、自身のルーツを忘れたわけではない。さまざまな事業を抱えるホンダは、世界最大の内燃機関メーカーなのだ。 三部氏は、現在のハイブリッド車ラインナップが「好調」だとして、「2030年まで、これが当社の主要事業になると考えている」と述べた。 新開発のeアクスルは、一部の0シリーズとハイブリッド車で共有される。ホンダはすでに、プレリュードをハイブリッド専用クーペとして欧州で復活させることを決定している。