【連載100回記念企画】城戸的”TVerアワード”を発表…大賞は『ウォーキングのひむ太郎』に/テレビお久しぶり#100
長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は記念すべき連載100回目! 特別企画として、城戸さんがこれまでに視聴した番組の中から”TVerアワード”を選出します。 生きていればダサくもなる『何か“オモシロいコト”ないの?』/テレビお久しぶり#99 ■連載100回記念企画”城戸的TVerアワード”を発表!! ありがたいもので、この『テレビお久しぶり』もついに連載100回目を迎える。これもひとえに皆様のおかげです。晩年は、「お爺ちゃんはテレビジョンの連載を100週間やったんだよ」と近所の小学生に吹聴して回ることにしよう。100週間も連続でエッセイを書いたのだ。簡単にできることじゃないんだよ、君も作文の授業は嫌だろう、とも言って回ろう。 さて、上京しておよそ7年間まったくテレビを見ていなかった私にとって、テレビ番組を見る生活というのは、確かに様々な刺激をもたらした。まずもって、「さあ、楽しんでください!」と飾り付けのされたコンテンツが、私にとってはもはや新鮮とすら言えたのだ。例えば、なにかとテレビと比較されるYouTubeのコンテンツ(いわゆるYouTuberの動画)は、より個人的だ。飾り付けと言っても動画編集によるものがほとんどであり、美術という概念がほとんど存在せず、あくまでも演者の等身大の魅力が打ち出される。対するテレビは、やっぱりゴージャスだ。スタジオには様々な装飾が施され、カメラも複数。スターである演者に”等身大の魅力”を感じるようなことも少ない。客観的で庶民的。もちろんどちらが優れているといった話ではなく、このふたつのメディアには、それぞれの特色というものがあり、7年もYouTubeばかり見ていた私にとって、テレビ番組の懐かしさは、むしろ新鮮さとして映ったのである。私のように、テレビ番組をほとんど見なくなったという人は多いだろうが、これを機に見てみるのはいかがだろう。誰が見ても面白いようにできているし、今の時代の雰囲気というものを感じ取れる。テレビをつけたらやっている、というリアルタイム性も素晴らしい。私はもっぱらTVerで見ているのですが……。 ということで、今回は連載100回記念を祝して、個人的なTVerアワードを開催したいと思う。この連載の中で、私が最も好きだった番組を発表させていただきたい。3位、2位、大賞、そして特別賞と、僭越ながら順位をつけさせていただきます。 ■第3位『月曜から夜ふかし』(日本テレビ) いきなり人気番組で大変申し訳ないのだが、『月曜から夜ふかし』はやはり外せないだろう。私が7年ぶりにテレビを見始めて、全体的にテンポがとても速くなっている印象を受けたのだが、その速さを象徴するような番組である。あの街頭インタビューの編集術はよそじゃ見たことがなく、番組の色として定着している。あらゆる意味で、令和の番組だと個人的には位置付けている。それにしても、”令和人間集”とはなかなか洒落た言い回しを用いている。我ながら恐縮だが、確かに”令和人間集”という他はない番組だ。 ▼『月曜から夜ふかし』のバックナンバーを読む #40/令和人間集 ■第2位『モヤモヤさまぁ~ず2』(テレ東) またしても超人気番組だが、やはり圧倒的な面白さ。面白いテレビ番組は何かと問われれば間違いなくモヤさまである。さまぁ~ずや田中瞳アナの魅力はもちろんのこと、何よりも出来事の乱れ撃ち。出来事が起こる、起こる、起こる……。今さらモヤさまをオススメするのもなんだか馬鹿らしいのだが、私のようにほとんど見たことがないという人もいるだろう。決して退屈しない番組、是非。 ▼『モヤモヤさまぁ~ず2』のバックナンバーを読む #25/貫禄の散歩 #64/”人生で一番良かった散歩”が毎度映し出される…キング・オブ・テレビ ■大賞(第1位)『バナナマン日村が歩く! ウォーキングのひむ太郎』 堂々1位はやはり『バナナマン日村が歩く! ウォーキングのひむ太郎』。好きすぎて4回も取り上げている。とにかく大好き。街ブラ番組ではなく、あくまでウォーキング番組。日村はせっせこせっせこ、色んなものを目撃しては素通りしていく。街が生きているのだ。日村に負けず劣らず、街にも躍動感がある。この魅力はやはり見てもらわなきゃ伝わらないだろう。超オススメ。是非! ▼『バナナマン日村が歩く! ウォーキングのひむ太郎』のバックナンバーを読む #10/日村大好きな筆者が見た「ウォーキングのひむ太郎」 #14/思い出話が全部面白い…「ウォーキングのひむ太郎」下北沢回が最高 #46/日村とバカリズムの思い出話はずいぶん尊い #81/クリスマス大好き ■特別賞『行列のできる相談所』(日本テレビ) 正統派バラエティであるはずが、ところどころに変てこというか、とにかく油断のできない番組。近年のテレビはテンポが速いと言ったけども、この『行列のできる相談所』は、圧倒的なテンポに加え、その密度もすさまじい。元は法律番組でありながらトークバラエティへと舵を切ったくらいなのだから、面白いくだりは全部入れてやるという心意気が強いのかもしれない。最近の『相談所』を知らないという人がいたら是非見ていただきたい。懐かしさと新しさに、きっと驚くのではないだろうかと思う。 ▼『行列のできる相談所』のバックナンバーを読む #36/もはや原型すらない #59/ユニークなテンポ、そしてリズム…見ているときは油断ができない 他にも面白い番組はたくさんある。自分で見つけるのもいいけれど、誰かのオススメが聞きたいということがあれば、この『テレビお久しぶり』のバックナンバーを見てほしい。100回もテレビの話をしているのだから必ず見たい番組が見つかるはず。それにしても100回か……。よくやったな。けっこう真摯にやっている。100週間も、なかなか真摯にやってきたものである。 ■文/城戸