症状が回復せず、状況は「極めて厳しい」…医師は患者や家族にどう“現実”を伝えるのか
医者も相当悩んでいる
悪い知らせを伝えるというのは、医者にとっても最大のストレスです。治療がすべてうまくいき、病気が完治して元気に患者さんが退院していく、ご家族は喜んで医者に感謝の言葉を述べてくれる、それが医者にとって最高の喜びです。ですから、小児外科医の中でも、小児がんを専門にしたいと考える医者はあまりいませんでした。 小児科の中では、神経疾患を専門にした医師が多くの死と向き合います。重度心身障害などの神経疾患は、経過も長く、具合の悪い時期が長引くことがあります。そして、ある時点でもう「大丈夫ではない」という時期に来ることがあるでしょう。そういうとき、医者は本当に苦悩しながらご家族に説明をするのだと思います。 大人はいずれ死と向き合います。高齢になれば誰もが避けられないことです。ですが、青年期や壮年期の若い人の痛ましい死ももちろんあります。そういうとき、成人医療を行なっている医師も、やはり相当悩みながら、本人や家族に説明をしているでしょう。それが医者の仕事とはいえ、「大丈夫ではない」ことを伝えるというのは、本当につらいことです。
弁護士JP編集部