物価高でも豪勢に 年の瀬「ごちそう商戦」活気 静岡県内各地で迎春準備
年の瀬が押し迫った30日、静岡県内の商業施設は多くの買い物客でにぎわった。終わりの見えない物価高で節約を強いられてきた消費者も、財布のひもを少しばかり緩めて店頭へ。原材料費の高騰などで価格設定に頭を悩ませてきた店側は、書き入れ時の活況に期待を膨らませた。「良い年を迎えられますように」ー。買う側も売る側も、願いを込めて迎春準備にいそしんだ。
約50店舗が並ぶ焼津さかなセンター(焼津市)は、マグロやイクラなど高級食材を買い求める客でごった返した。カニや干物などを販売するマルワ商店では本ズワイガニが次々に売れた。冨山和良代表(52)は「物価高騰で売価の設定が大変だったが、一番大きいカニを買ってくれるのは年末年始だけ。売り上げを伸ばしたい」と話した。
家族3人で初めて訪れた島田市の会社員永田宗一郎さん(37)はマグロの刺し身、シラス、ホタテなどを購入した。「活気があって良かった。おまけも付けてくれてお得感がある。家でゆっくりと年を越したい」と笑顔を見せた。
11月末に開店したばかりの「スーパーセンタートライアル浜松若林店」(浜松市中央区)は、年末年始の需要増加を見越して牛肉やカニ、オードブルなど「ごちそう商品」を中心に据えた陳列に変更。総菜などを買い込む客のほか、大容量の菓子やアイスを購入する家族連れも目立った。
「予想より多く来店いただいていると感じる」と北村史隆店長。同区の会社員中沢由美子さん(62)は「客がいっぱいで年末だと感じる。子や孫が帰ってくるので、のんびり楽しく過ごせたら」と顔をほころばせた。
鮮魚や青果などの専門店が並ぶ清水町の沼津卸団地食遊市場。業務用食材を中心に販売する「こまつや卸団地店」は物価高の影響を少しでも緩和しようと、店のアプリに登録した人に割引クーポンを配布する工夫を施した。松崎努副店長は「カニやイクラ、ホタテなどの海産物はやはり人気」と、この時期ならではの活気を喜んだ。
同町の会社員下川原建さん(57)は「せっかくなので少し高くても豪勢にしたいと奮発した」と声を弾ませ、富士宮市の会社員平野雅子さん(50)は「買ったカニは自宅ですしにしてみたい」と話した。