「これでいいんかよ」きっかけはひとりの女性が抱いた危機感 参加者わずか4人だった防災訓練5年で60倍に
RKB毎日放送
毎年のように豪雨災害が発生する近年の日本。 温暖化の影響が指摘されていますが、災害に強い街をつくるにはどうしたらいいでしょうか。 ヒントのひとつになる取り組みを行っている地域があります。 【写真で見る】「共助」の取り組み 地域のつながりを強めて備える ■山の麓に住宅地約300世帯が住む 梅雨入りを控えた6月初旬、福岡県北九州市若松区畠田で防災訓練が行われました。 約300世帯800人が住む畠田地区で年に1回実施しています。 雨の中、約150人が参加。地区の人が次々と集まり、集合場所となっている公民館に向かいました。 参加者「うちの家はもうちょっと山の方の上の方なので、いつどうなるかわからないのでこういう訓練があるのはありがたいですとっても」 参加者「1年に1回訓練があることで考える時間がみんなできるというのがいいんじゃないかと思います」 ■地区の約半分が土砂災害警戒区域 山の麓に住宅地が広がる畠田地区は、2013年に地区の半分ほどが土砂災害警戒区域に指定されました。 ごく一部ですが、土砂災害特別警戒区域の場所もあります。しかし、この年の防災訓練の参加者はわずか4人にとどまっていました。 ■浸水やがけ崩れも起きた2017年 これに危機感を抱いたのが、市民防災会の会長を務め、防災士でもある古川裕子さん(77)です。 若松区東28区市民防災会 古川裕子 会長「これでいいんかよ、って思って。2017年に、福岡県朝倉市で大きな災害があったじゃないですか。それと数日違いでこの地区もかなり降ったんです。冠水したところもあって床下浸水したところもあって、小さながけ崩れは2~3か所ありました。『さーっと連絡できて誰も逃げ遅れない体制が必要だね』ってなって緊急ネットワークを作る事になりました」 ■グループ単位で連絡網 古川さんたちは、一人の犠牲者も出さない体制をつくろうと、3世帯から8世帯ごとにグループ分けを行いました。グループは、災害時には連絡網を使って「避難指示」などの情報を速やかに共有します。