自治体で進む電気自動車の導入 国も後押し
THE PAGE
CO2排出ゼロの電気自動車(EV)やエコカーのプラグインハイブリッド車(PHV)普及の取り組みが加速しています。経産省は2020年までにEV、PHVの目標普及台数を現在の7倍の100万台とするロードマップ(行程表)を今年発表。自治体の購入補助金制度なども広がっています。今月初めて電気自動車を導入した長野県企業局のケースから電気自動車などの将来を考えてみました。 【写真】電気自動車はそろそろ「使えるクルマ」になってきたのか?
年間2300キログラムのCO2を削減
長野県企業局が電気自動車を導入したのは、国などの普及策の広がりや社会の関心が背景。導入車は7人乗りワゴン車で5年間のリース。従来のガソリン車に比べ年間2300キログラムのCO2が削減でき、維持管理費も年間約8万円割安で、携帯電話30台、ノートパソコン5台、LED照明5台を8時間使用できる非常電源にもなるとしています。この車が1回の充電で走れる距離は約190キロ。出先の現場の巡回などに使う予定です。 長野県は知事部局を中心にすでにハイブリット車(HV)70台を導入しており、知事部局とは別に発電や水道事業を担当する企業局も今回、電気自動車導入で県の省エネ策を一歩進める姿勢を示すことに。同局は「エネルギーの地産地消の一助とするとともに省エネ推進のシンボルにしたい」とし、小林利弘・公営企業管理者は「街頭でこの車を県民に見てもらうことで省エネなどを意識してもらえれば」と話しています。
普及へカギ握る充電施設の拡充
自動車メーカーなどの調査によると、EVやPHVの購入への公的補助の制度はほぼ全国に広がり、都道府県ごとに1~数市町村が実施。長野県内でも北佐久郡御代田町、同軽井沢町、松本市などが制度化し、補助額は数万円から30万円。全国の補助レベルも同様とされています。 自治体への電気自動車の導入や住民の購入補助制度は、国の普及促進策も後押しの背景となっています。経産省が関係の専門家らの検討でまとめ、今年3月に公表した「EV・PHVロードマップ」は、2020年のEV、PHVの普及台数(保有ベース)を今年2月末の累計販売台数約14万台の7倍に当たる100万台とする目標を設定。普及に伴って生じる問題の解決に向け対策を講じるとしています。 特に電気自動車の弱点とされる充電後の走行距離がまだ200キロ前後と長くないことから充電ステーションの拡充を重視。「道の駅や高速道路のSA、PAなどの分かりやすい場所への計画的な設置を徹底する」と強調しています。また、家庭での充電が容易にできるようマンションなど共同住宅に充電施設を設置することがEVやPHVの普及に向け「極めて重要」だとしています。 具体的な目標として、2020年までに集客数の多い目的地などに2万基程度の充電施設(既設を含む)を設けることで利便性が向上するとし、共同住宅には毎年2000基の設置が必要だとしています。