「ギガ団地」核にキュウリ一大産地へ JA福島さくら
福島県のJA福島さくらは、2022年から「ふくしま園芸ギガ団地構想」を核とした郡山市園芸ギガ団地組合を設立し、キュウリの生産を推奨している。稲作中心の郡山市で高収益作物として導入し、将来的には販売高5億円の持続可能なキュウリの一大産地化を目指して取り組んでいる。 23年の同市内のキュウリ生産者は120人。新規参入はあるものの、高齢などを理由に22年から12人減り、担い手不足が課題となっている。 同組合は、新規就農者の離農防止や補助金の確保を理由に県内でいち早く組合を設立した。現在の組合員は20人で30、40代が中心。福島県園芸生産拠点育成支援事業やJAの単独事業などを活用し7人が約49アールを施設化している。 以前は支店単位でしていた栽培指導会を、組合設立後に年4回の郡山地区管内全体を対象とした開催に変更。品質の向上や栽培防除体制の統一だけではなく、生産者同士の横のつながりにも役立っている。 同組合に加入し、同市内で13アールのハウスキュウリを栽培する坂本貴史さん(43)は40歳で脱サラし、今年から新規就農した。組合の加入について「同じ目標に向かう市内のキュウリ農家とのつながりが広がり、とてもありがたい」と話す。今後「さらに組合が拡大し、個人では大変な部分をカバーし合いたい」と展望を語る。 坂本さんが就農を志したのは、11年の東日本大震災がきっかけの一つ。勤めていた会社の転勤で全国各地を回る中で、震災後に福島県産農産物のマイナスイメージを耳にすることが増えた。「地元である県産農産物の風評被害を払拭したいと思ったのが、その後の農業を選択するきっかけになった」と当時を振り返る。県内に住む母親の大病や息子の誕生などが重なり、年齢的にもラストチャンスと就農を決意した。 県の紹介で、同市内でキュウリを栽培し同組合の副組合長を務める伊藤正喜さん(58)の下で2年間栽培方法を学び、去年から伊藤さんの土地を借り、補助金を活用して3連棟のハウスを建てた。 JA三穂田営農経済センターの山田智範営農指導員は、担い手支援担当として坂本さんの元へ日々巡回をする。「坂本さんから意見をもらい、本店ギガ団地担当者と連携しながらバックアップしていきたい」と意気込む。
日本農業新聞