中小企業オーナーは最強のおいしい職業なのか? 自由が利く、支出は会社の経費といわれるけど
日本には法人企業が約360万社あり、300万人以上が社長をしています。働く人の実に20人に1人が経営者をしているわけですが、情報公開が少ない中小企業経営者の実態は謎に包まれています。 【図表を見る】中小企業に多い業種、1企業当たりの売り上げ高は? 世間では、中小企業経営者は「会社の金で外車を何台も買って、優雅に暮らしている」とも、「借金で首が回らず、明日の生活も確かでない」とも言われます。実際は、どうなのでしょうか。 ■不満があると言ったら罰が当たる 筆者は30年近く中小企業診断士をしていることから、全国の中小企業経営者を数多く知っています。中小企業経営者は実に多種多様ですが、オーナー経営者に限ると、以下の3タイプに分類できます。
① ウハウハ社長:会社の業績が良く、私生活でも羽振りが良い ② フツウの社長:業績が良くも悪くもなく、私生活も華美でも質素でもない ③ ダメダメ社長:業績が悪く、私生活も火の車 このうち、別世界の存在である①と③の実例を紹介しましょう。まず、①ウハウハ社長から。 持田正人さん(仮名)は、ゲーム関連企業を経営しています。30代後半に会社勤務を辞めて起業し、現在50代前半です。創業当初は倒産の危機に見舞われましたが、すっかり事業が軌道に乗り、近年、業績は絶好調です。
会社の運営は複数の幹部社員にほぼ任せており、持田さんが出勤するのは週3日くらい。出勤しない週2日は、「ちょっと人に言えない趣味」に使っています。 「社員には『お客さんと会う』と、家族には『週5日会社に通っている』と伝えています。まあ、社員も家族も薄々気づいているでしょうが(笑)」。 持田さんの年収は、約4000万円。上場企業の取締役と同程度です。ただ、車・家賃・外食・旅行などほとんどの支出が会社負担なので、収入の大半が手元に残ります。
「会社員時代もそこそこ高収入でしたが、貰った給料の中から支出するので、あまり財産は増えませんでした。財産形成したいなら、断然中小企業経営者です」。 現在の仕事や生活に対する満足度を持田さんに尋ねました。 「仕事を楽しんでいますし、私生活も充実しているし、経済的にも問題ないし。これで『不満がある』と言ったら、罰が当たりますよ(笑)」。 愚問でした……。 ■ダメダメ社長は廃業したくてもできず… 一方、対照的な③ダメダメ社長のケースではーー。