『光る君へ』“初のじいじ”の心持ちを岸谷五朗が明かす 吉高由里子の“父”としての一面も
吉高由里子主演の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。公式サイト内には出演者の撮影現場からのコメントが聞けるキャストインタビュー動画「君かたり」が公開されている。第30回「つながる言の葉」の放送後には、藤原為時役の岸谷五朗が登場した。 【写真】第30回で色っぽく登場したあかね/和泉式部(泉里香) 夫の死から3年が経ち、まひろ(吉高由里子)は四条宮の女房達に和歌を教えながら自作の物語を披露していた。また、まひろは娘・賢子(福元愛悠)に学問の面白さを伝えるべく文字の書き方を教えている。しかし当の賢子はまひろの厳しい指導に音を上げていた。為時はそんな賢子を溺愛し、優しく接する。 インタビューの中で岸谷自身が語っているが、おじいちゃん役は初めてなのだという。“おじいちゃん、じいじの役”に向き合う時、どういう思いになるのかということに興味を抱いたと話す岸谷は、賢子と向き合う場面について「小さい賢子ちゃんが現れたりするときに、とにかくとっても優しくなれるんですよね、おじいちゃんって」とコメント。「まひろに言ってきた厳しいことや、惟規(高杉真宙)に言ってきた厳しいことを全部排除して、別人のようにただひたすらかわいがるという、これがやっぱりおじいちゃんなんだな」と感心するように語っていた。 為時は娘・まひろの学問への情熱を十分理解しているが、賢子が読み書きではなく遊びに夢中になっていることも理解している。娘・まひろが賢子に厳しくする背景にある、学問のすばらしさを子どもに伝えなければならないという思いを理解している岸谷は、まひろの子どもへの厳しい姿勢について「文学のすばらしさを知っているがためにイライラしながら教えていくというタイプでしょうかね。その気持もとってもよくわかります」とも話している。 劇中、賢子は母・まひろが執筆していた原稿を燃やしてしまった。為時は、まひろに叱られ、泣き続ける賢子に優しく寄り添う。だが、賢子を激しく叱りつけるまひろを見て、まひろがどのような思いで創作にのめり込んでいたかも理解したのだろう。翌朝、為時は沈んだ面持ちの賢子を連れ、「気晴らしに賢子を連れて賀茂神社に行って参るゆえ、お前は一人で書きたいだけ書け」と言った。この台詞を発した岸谷の声色はとても優しく思いやりに満ちている。孫を無条件に愛する“じいじ”でありながらも、「学問が私を不幸にしたことはございませぬ」と言ったまひろのことも大切に思っていることが伝わってくる場面だ。 とはいえ、岸谷は、為時にはまひろを学問に集中させたことに後悔があるともとらえている。岸谷は、家族を築くことなど学問以外でまひろにやらせてあげられていないことがいっぱいあると考えており、「為時自身は学問に集中させたこと、文学の世界に集中させたことをおそらく後悔していると思うんですね」と語った。だが、まひろはこれからますます文学にのめり込み、“紫式部”になっていく。「だから、もうお父さん、ちょっとついていけないです(笑)」と岸谷は笑っていた。 インタビューに応じる岸谷の口調からは気さくな人柄が感じられる。また、その人柄がまひろや賢子との場面で見せる演技にも滲み出ているように思えた。実直な為時が“じいじ”として賢子にとっても優しくなる姿が、今後の物語における癒しの一場面となりそうだ。
片山香帆