最高裁裁判官「国民審査」ガイド! 6人全員の過去の判決から見えた信条や人柄とは?
最高裁裁判官が"憲法の番人"として信任できるか。それを有権者が判断する「国民審査」の投票が、衆院選の投票日と同じ日に同じ場所で行なわれる。しかし、彼らがどんな人か全然知らないので、全員に「×」、あるいは白紙投票も多いとか。それじゃ意味がなさすぎる!ってことで、審査対象の6人の経歴や人柄を解説します! 【写真】6人の経歴を紹介 * * * ■最高裁裁判官の国民審査って何? 総選挙の投票日が迫ってきた。投票所では小選挙区と比例代表の投票用紙に加えて"3枚目"が有権者に配られる。内閣から任命された最高裁判所の裁判官を審査し、ふさわしくないと思う人物の氏名の上に「×」をつける「国民審査」のためだ。 しかし、ほぼ全員の有権者が「わかるわけないだろ」と、適当にスルーしている。無理もない。私たちは政治家の名前と顔ならギリギリ知っていても、裁判官なんて誰ひとり知らないのが普通だからだ。 最高裁裁判官の国民審査は、有権者から過半数の「×」をもらってしまった裁判官が強制的に辞めさせられる制度だ。しかし、過去190人の裁判官が国民に審査された結果、辞めさせられた裁判官はいない。過去に最も「×」を集めた裁判官は、1972年の下田武三氏で全体の15.17%だった。それでも過半数に遠く及ばず、本当に意味のある制度なのか疑問の声もある。 ただ、実質、一生に一度の審査で自分がどれほどの「×」を有権者からもらうか気にしている裁判官も多いとの話もあり、民意による無言の圧力として作用しているかもしれない。ちなみに、この制度を国として行なっているのは日本が唯一とされる。主権者である国民の意思を司法にも及ぼすことができる、世界的にも貴重な制度を有効活用しない手はない。 最高裁判所には15人の裁判官が所属する。地方裁判所から順当に出世してきた裁判官ひと筋の人物もいれば、検察出身、弁護士出身、学者出身、外交官出身、官僚出身といった多様な背景を持つ人材が集結しているのが特徴だ。デリケートな基本的人権の問題を扱ったり、時代の流れに伴って判例を変更したりする重要な役割を担う最高裁では、判決の中でその人の価値観や主義主張が問われる場面もあるため、キャリアが偏らないよう配慮されているのである。 今回の審査対象は6人。内訳は裁判官出身が4人、弁護士出身と外交官出身がひとりずつ。今回は長官も審査対象に入った。どんな人々なのかをお伝えしたい。 ■審査対象6人 ●総理大臣と同水準の給与を受け取っている最高裁長官の今崎幸彦裁判官は神戸市出身で、京都大学法学部在学中に旧司法試験に合格したエリート。2009年に裁判員制度がスタートしたときには、広報部長としてPRに努めた。裁判員裁判の裁判長を法廷で担当した経験がある裁判官が最高裁長官になるのは史上初。一方、プライベートでは「無趣味といっていいほど面白みのない人間」と謙遜する。 【地方裁判所での判決】