「支給される下着の30~35%が中古の下着」「常に満員」児童養護施設の厳しい状況…新たな挑戦で状況は変わるか
■子どもにとって「当たり前の暮らし」を こうした施設は、ともすると、管理や安全性への配慮から、閉じた施設になってしまいがち。しかし、「さまざまな人と子どもが交じり合い、地域をゆるやかにつながっていく。そういう環境で、子どもは安心して生活できる」と飯田さんは捉えている。子どもにとって「当たり前の暮らし」を実現しようとすると、従来の施設でリスクとされてきたことをやることになるのだ。 が、理想を実現するには周囲に何もない場所ではなく、さまざまな人が暮らしている土地を探さなければならなかった。Googleマップで空き地を探し、ここと思ったところを訪れて交渉を重ねた。
4カ月の間に300件を超える物件を見て歩いたという。地域に対しても説明会を開催したり、工事を行うにも地元の業者に発注したりと、地元の理解を得る時間や労力を惜しまなかった。 出会ったのは習志野市の実籾の1850坪ほどの土地。周囲は住宅地で、公園や高校に隣接している。それと並行して、全国にある他施設の見学とヒアリングも重ね、これから作る施設にどんな要素を盛り込んでいくかの検討を重ねた。 「近隣の人たちがこの活動に理解を示し、応援してくれています。子どもたちをはじめとする、そういう期待に応えるべく、やれることはすべてやろうと考えています」と飯田さんは語る。上棟式でもち投げをやった際にも多くの近所の人が集まったという。
施設の建設にあたり、15億4000万円ほどの費用がかかる。そのうち2億8000万円は国庫補助金がおりたが、残りは借り入れと寄付によって工面することにした。 そして、2023年10月には「OUR KIDS基金」を設立し、個人や団体から寄付を募っている。これには、建設費用を賄う「建設サポート寄付」に加え、子どもたちの暮らしを支える「ライフサポート寄付」というものを設けてあり、個人でも法人でも参加することができる。