医師が明かす衝撃の実態「アフターピルを処方した女性の1割強は性被害者」 加害者に父親も…望まない妊娠、リミット72時間なのに日本だけ入手に「壁」
「薬局の方の熱意はものすごい。夜間や休日でもちゅうちょなく開けてくれるし、話しやすい環境もつくってくれる。お金のない中学生に『後で返してくれればいい』と薬局負担で薬を渡してくれた例もある」 ▽アフターピルが必要な人の1割強は性被害 プロジェクトを始めてから2年余りが経過した。アフターピルを求めて来た人は1500人以上。上村さんはこのうち2023年3~5月を抜き出して約300人を分析したところ、驚くべき状況が分かった。 受診理由の多くは性的同意がある恋人同士の行為で「コンドームが破れた」「外れた」「避妊対策をしなかった」という結果だった。一方で、性被害に遭った人が1割強に上り、10代では4分の1を超えていたのだ。その相手も、父親、母親の彼氏、部活の先輩がいたほか、駅のトイレで被害に遭った人も複数いた。 上村院長はこの現実を冷静に受け止めている。 「この結果は特別なものではない。性被害の割合は、ほかの時期でも大体同じ傾向だ」
性暴力を受けた上、妊娠の不安を抱える女性たちが非常に多いことが分かる。 このためプロジェクトでは、薬の服用を見届けただけで終わりにしない。性被害と分かれば、本人の意向を尊重した上で警察や福祉機関につなげている。上村さんも「いつでも気軽に無料相談できる」と伝えている。 こうしたきめ細かなサポートをしていると、診察時の会話や問診票だけでは分からない事情を把握できる。中には、パートナーとのより良い関係性や正しい避妊方法を考えたと報告してくれた女性もいたという。 ▽遅ればせながら動き出す国、背景に「慎重論」 上村さんの次の目標は、プロジェクトの仕組みを全国に広げることだ。「まだ緊急避妊薬にアクセスできていない人も多いと思う。薬局を、女性が困った時の身近な駆け込み寺のような場所にしていきたい」 日本女性財団からの助成を受けながら、中高生や性被害に遭った女性へアフターピルにかかる費用面での支援もしている。より多くの女性に届けられるよう、クラウドファンディングに取り組むなど、資金調達の方法も模索している。