医師が明かす衝撃の実態「アフターピルを処方した女性の1割強は性被害者」 加害者に父親も…望まない妊娠、リミット72時間なのに日本だけ入手に「壁」
一方、日本で初めて製造販売が承認されたのは、13年前の2011年。ただし、手に入れるには病院で医師に処方箋を出してもらう必要がある。費用は公的医療保険の対象外となっており、診療代と薬代を合わせて1万~2万円ほどが全額自己負担となる。 一番の問題は、時間だ。性交後72時間以内に、なるべく早く服用しなければならないが、病院には休みがある。夜間や休日ではすぐに手に入らず「時間切れ」となりかねない。さらに、価格も高い。若い世代や困窮している人にとっては苦しい。全ての女性が自らの健康と権利を守るために必須な薬なのに、日本では入手にいくつもの高いハードルがある。理不尽というしかない現状が続いている。 ▽「避妊に失敗する子はいてもいい」 上村さんも、この「ハードルの高さ」にずっと悩んできた。産婦人科医として診療のかたわら、岡山県内外の学校で性教育に力を入れてきたが、「最後の部分」でどうしても説得力に欠けるためだ。
たとえば、生徒たちを前に上村さんはこんな説明をしている。 「友だちと何かをする時に双方の同意が大切であるように、恋人同士でするどんなことでも、お互いの同意がなければいけない」 「避妊には男性側のコンドームだけでなく、女性側の低用量ピルの主に二つの方法がある。100%の避妊に近づけるためには、両者がそれぞれ対策すべきだ」 「もし避妊に失敗した可能性があったら、アフターピルを必ずすぐに服用すること」 しかし、現状ではアフターピルはすぐに入手できない。妊娠の不安を一人で抱え込んでいる女性は多く、上村さんによると、彼女たちの本音は「言いづらい」「高くて支払えない」「近くに病院がない」「婦人科の先生にいろいろ聞かれたことがあり、嫌な思いをした」…。 性教育を受けた生徒たちの中にも、避妊がうまくいかずクリニックで「再会」するケースもあるという。 ただ、上村さんが避妊の失敗を責めることはない。