台湾、ウクライナにホーク防空システムをひそかに引き渡しか 米国介して
ウクライナは多種多様な防空システムを運用してリスクを分散
米当局は早くも2023年7月には台湾側との間で、発射機計100基ほどを含む、台湾軍の退役したホークシステム十数基を買い取る交渉を進めていると伝えられていた。台湾軍は2015年から、独自開発した地対空ミサイルシステムや、取得したNASAMSと入れ替えるかたちで、ホークを順次退役させ始めた。 1年あまり前に米国と台湾の取引が取り沙汰された当時、ウクライナはS-300やブークといった旧ソ連製地対空ミサイルシステム用のミサイルが枯渇してきており、ホークはこの危機の解決に役立つと期待されていた。ウクライナ軍は以後、外国製のさまざまなミサイルや発射機、レーダーを統合し、防空網を多様化してきた。 多様化というのが重要な点だ。連日、ロシアによるミサイルや自爆ドローンの襲撃に見舞われるなか、ウクライナは運用する地対空ミサイルシステムの種類が多いほど、利用できるミサイルの在庫や生産ラインも増えるからだ。ホークの場合、運用中あるいは過去に運用していた国・地域は数十にのぼり(編集注:陸上自衛隊でも長年運用されてきた)、ウクライナはたとえ米国による直接の関与がなくても数百発を調達できるだろう。 ホークは、ウクライナ軍の保有する最も優れた地対空ミサイルシステムであるパトリオットと同じクラスの地対空ミサイルシステムではない。パトリオットは射程が160kmもあり、ミサイルにレーダーシーカーを搭載する。対してホークは射程がせいぜい50kmしかなく、地上のレーダーから空中目標に照射されるレーダー波の反射エネルギーを用いてホーミングする。 ホークシステムの最大の欠点は、レーダーがジャミング(電波妨害)の影響を受けやすいことだ。ウクライナ軍は旧式のホークのミサイルと発射機をより新しいNASAMSの高性能レーダーと統合すれば、この点を改善できるかもしれない。
David Axe