トランプ氏が早々と勝利宣言、だが暗号資産の勝利はすでに確定済み
米議会選挙に1億6900万ドル(約260億円、1ドル154円換算)を投じれば、ワシントンで迅速な結果を生み出すことができる。 今年、暗号資産(仮想通貨)業界が多額の選挙資金を寄付したことで、暗号資産法案の障害となっていた米民主党上院議員を落選させ、新たに多数の支援者を議会に送り込むことができた。 トランプ氏のホワイトハウス復帰がほぼ確実になりつつあることで、暗号資産業界は初めて、大統領から公然とした支持を受けることができそうだ。自らを「暗号資産大統領(crypto president)」と呼ぶ最高司令官は、業界にとってありがたい存在となるだろう。だが、すでに暗号資産(業界)は前例がないほどの優位な立場を手にしている。 業界がフェアシェイク政治活動委員会(Fairshake political action committee)を通じてオハイオ州に費やした数千万ドルの支援によって、シェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)氏の上院議員としての長いキャリアは終わり、ブロックチェーン実業家のバーニー・モレノ(Bernie Moreno)氏が新たにその座につく。上院銀行委員会(Senate Banking Committee)の委員長であるブラウン氏の落選は、共和党が上院の過半数を握る一因となった。また同委員会には、新たに共和党議員が委員長に就任し、暗号資産法案の成立を推進する可能性が高い。
上院は暗号資産フレンドリーに
これまで上院は、今年初めに下院を通過した「21世紀のための金融イノベーションとテクノロジー法」(FIT21:Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act)や、同じく下院を通過したステーブルコイン法案など、暗号資産関連法案の成立の大きなハードルとなっていた。 「シェロッド・ブラウン氏は暗号資産にとって最大の反対派だったが、我々の努力の成果で同氏は上院を去ることになるだろう」と、共和党候補の支援や反暗号資産姿勢を示す民主党候補への対抗策に重点的に取り組んだフェアシェイクの関連団体Defend American Jobsは声明で述べた。声明によると、モレノ氏は「イノベーションを優先し、米国の経済的利益を保護し、国民の継続的な技術的リーダーシップを確保する」という。 トランプ氏の復活はさておき、次の議会では、米証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)の見解を上回るような法案が成立する可能性が高くなっている。仮に法案が法として成立すれば、SECとCFTCは法を実行し、また暗号資産を証券として定義する手段を明確にする必要がある。 米暗号資産取引所コインベース(Coinbase)の最高法務責任者ポール・グレワル(Paul Grewal)氏は、有権者からのメッセージをSECが理解することを望むと米時間5日夜、Xに投稿した。 「とても多くの問題について、有権者は変化を望んでいると明確に表明した。暗号資産も例外ではない。暗号資産(業界)を訴えることはやめ、話し合いを始めよう。今すぐルールメイキングを始めよう。待つ理由はない」