有村架純が「さよならのつづき」で見せた新境地──翻弄される運命の先にあるものは?
有村架純の最新主演作、Netflix シリーズ「さよならのつづき」が配信スタートした。撮影前の不安を払拭して到達した、新たなる風景を探る。 【写真を見る】有村架純の最新主演作品についてチェックする
プロフェッショナルな有村架純は、取材時も凛とした佇まいを崩さない。しかしその裏で、新たなる作品に臨む“生みの苦しみ”と闘っていた。最新主演作であるNetflix シリーズ「さよならのつづき」は、脚本家・岡田惠和、黒崎博監督、坂口健太郎といった有村と縁の深いメンバーが集結。ただ彼女の中には「この物語を届ける怖さ」があり続けたという。 「成瀬さん(坂口)に妻のミキ(中村ゆり)がいることで複雑化していく話ではあるため、そこでご覧になる方が“不倫では?”と感じてしまうと最後まで見守っていただけないのではないかという懸念がありました。キャラクターの作り方・物語の説得力を皆で常々考えながら撮影を進めていきました」 少しでも「いいもの」にするため─。今回、有村が腐心したのは“演じる”だけではない。坂口と共に脚本の前段階であるプロット時点から参加し、意見を出した。「さえ子(有村)が亡くなった雄介(生田斗真)に依存して見えてしまうのは、自分の中ではしっくりきませんでした。彼女にとってフィーリングが合う特別な人であることをまず伝えたい、と岡田さんに相談したら、思い切って第1話をさえ子×雄介、成瀬×ミキの話という物語の土台をしっかり見せる構成にしてくださいました」 本作を通して、より作品作りの深奥へと歩を進めた有村。俳優業の“つづき”を尋ねた。 「“こういうこともできる”と様々な可能性を見出せそうなものに飛び込みたい気持ちはベースとしてあります。ただ、自分だけの感覚を信じ続けるのは一歩間違えば危ういことだとも思っています。事務所の方の『こういうものも必要かも』という客観的な視点や、仮に台本だけだとどうだろうと思うものでも制作側の人たちとお話しするなかで“この方々となら一個越えられるものが見つかるかもしれない”と思えること―他者との融合も必要なので、独りで走り出さないことも大事にしています」 ◼︎「さよならのつづき」 最愛の恋人・雄介(生田斗真)をプロポーズされたその日に事故で亡くしたさえ子(有村架純)。その雄介の心臓を提供されて命を救われた成瀬(坂口健太郎)。ふたりは偶然にも何かに導かれるように出逢い、少しずつ距離を詰めていくことに。そして、切なくも数奇な運命に翻弄されていく。Netflixにて世界一挙配信中(全8話)。 有村架純 1993年生まれ、兵庫県出身。2017年には後に「さよならのつづき」を手掛ける岡田惠和・脚本&黒崎博・演出によるNHK連続テレビ小説「ひよっこ」に主演。近作にドラマ「海のはじまり」ほか。映画『花まんま』が2025年春に公開予定。
写真・平山太郎 文・SYO スタイリング・瀬川結美子 ヘアメイク・尾曲いずみ 編集・橋田真木(GQ)