BMW アクティブハイブリッド X6は日本車とは価値観の違うハイブリッドモデルだった【10年ひと昔の新車】
状況によって60km/hまでEVモード走行ができる
Vバンク間に2基のターボチャージャーを配置した4.4Lの8気筒エンジン+67kWと63kWという2基のモーターから成るハイブリッドシステムを組み合わせ、485ps相当のシステム出力を実現させた走りは、まずは電気モーターを主役としたシーンからスタートする。 それゆえに訪れる静かで滑らかな走り出しは、他のX6とは明らかに異なる感覚。基本的には、その先のアクセルペダルの踏み込みでエンジンが始動しパワーを上乗せするが、状況によっては60km/h程度までは「EV走行」を行うということが、ゼロポイントから微動だにしないタコメーターの動きによって確認できる。 見方を変えれば「それ以上の速度では必ずエンジンが稼動」するのがこのモデルの走りの特徴。それゆえ、常にパワフルな加速が得られるという印象がとても強い。 電気式CVTを備えつつもダイレクトな加速感が得られるように敢えてそれを7速のステップAT的に使うのも特徴で、このあたりもいかにも「BMWのハイブリッド」らしいポイントになっている。 「Xモデルとしては初の電動式」を謳うパワーアシスト機構が与えられたステアリングが生み出すフィーリングは、BMW車に期待するテイストをしっかり演じてくれる。ただし、フットワーク全般の身軽さという点ではやはりガソリンモデルにある程度の先行を許している印象も否めない。スペース的な問題からトルクベクタリングメカ「ダイナミック パフォーマンス コントロール」も採用されず、それも多少なりとも走りのダイナミズムに水をさしている可能性は否定できない。 オンボードコンピューター上で確認できた燃費性能は、100km/h付近のクルージングで9.5km/L。ある程度の市街地走行と高速走行を混ぜたコンバインモードでは8km/L台というもの。この成績をどう受け取るかは、まさに乗り手の意識次第ということになるが、車両重量が2.6トンをオーバーするというその巨体ぶりからすれば、「通常のガソリンモデルでは出せないデータをマークしている」というのは間違いないところでもある。(文:河村康彦/写真:村西一海)
BMW アクティブハイブリッド X6 主要諸元
●全長×全幅×全高:4885×1985×1690mm ●ホイールベース:2935mm ●車両重量:2610kg ●エンジン:V8DOHC+2モーター ●排気量:4394cc ●最高出力:300kW(407ps)/5500rpm ●最大トルク:600Nm(61.2kgm)/1750-4500rpm ●モーター最高出力:F67kW(91ps)/R63kW(86ps) ●モーター最大トルク:F260Nm/R280Nm ●トランスミッション:CVT ●駆動方式:4WD ●車両価格:1490万円(2011年当時)
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