「顧客にどれだけ損をさせ」「何人部下を辞めさせたか」を自慢するかつての野村證券の営業マン…新人研修の担当部長は「法令違反を犯して表営業できなくなった社員」
昔の相場師の小話
もちろん、デイトレーダーの中には高値圏で売り買いを頻繁に繰り返して儲ける「つわもの」もいるにはいるのでしょう。でも、高値近辺ではいつ暴落するかわからないため、スクリーンに張り付いてなければなりません。 矢印の局面で売り買いをする投資家はかなりの時間とエネルギーを使うことになるでしょう。逆に、暴落した後に買ったバリュー投資家(後述)はしばらくほったらかしでポジションを寝かせとけばよいので楽です。 昔、野村證券では「野村週報」という冊子を客と従業員に配っていました。薄っぺらな冊子ですが、私はそれを読むのを楽しみにしていました。 その冊子には昔の相場師についての小話が載っていました。今でも覚えていますが、こんな話が載っていて面白かったですねえ。 昔、北浜(大阪における兜町みたいなところ)で連戦連勝の大相場師がいた。勝ちの秘密を探ろうと、ある男がその大相場師をつけていくと毎日ある神社に行って願をかけていることを発見。その話が広まってその神社は大盛況。その大相場師は200回相場で勝負してほぼ全勝、2回しか負けなかった。しかし、その2回で破産した。 この相場師は、いつも矢印の局面で売り買いを繰り返し、勝った回数だけは稼いでいたんでしょうねえ。でも、大暴落で逃げそこないすべてを失ったのでしょう(そうでなければショートで大損したかです。)。 こういう馬鹿なことをしなければ、株式投資で損をする確率は高くはありません。ちなみに、信用取引はリスクが高いですよ。つまりお金を借りて株を買うと投資資金がゼロになる確率は高まります。 清原氏写真・イラスト/書籍『我が投資術』より その他写真/shutterstock
---------- 清原達郎(きよはら たつろう) 1981年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業。同年、野村證券に入社、海外投資顧問室に配属。スタンフォード大学で経営学修士号(MBA)取得後、86年に野村證券NY支店に配属。91年、ゴールドマン・サックス証券東京支店に転職。その後モルガン・スタンレー証券、スパークス投資顧問を経て、98年、タワー投資顧問で基幹ファンド「タワーK1ファンド」をローンチ。2005年に発表された最後の高額納税者名簿(長者番付)で全国トップに躍り出る。23年、「タワーK1ファンド」の運用を終了し、退社。本書ははじめての著書である。 ----------
清原達郎