【毎日書評】「外国語」は習慣化がすべて!ほぼ独学で12ヵ国語をマスターした鉄人がやっていること
毎日「決まった時間」に「決まった量」を学習する
継続の最大のコツは習慣化だと、著者は断言しています。朝に顔を洗ったり、歯磨きをするのと同じように、外国語習得を「当たり前の習慣」として組み込むべきだということ。そうすれば、面倒くささを感じることなく、無理をせずに継続できるわけです。 そのためには、1日のうちの「どのタイミングに勉強するのか」を予め決めておくことをおすすめします。 「朝、起きたら顔を洗う」「食後に必ず歯を磨く」というように、習慣はタイミングと密接に結びついています。ですから外国語学習も、「昼休みになったらPimsleurを開く(*)」「通勤中はPodcastを聴く」というようにタイミングを決めておくと、日常生活の中で習慣化しやすいでしょう。(179ページより) たとえば著者の場合、朝は脳がリフレッシュされていて集中力が高いと感じることから、起床直後を外国語学習の時間としているそうです。 また、1日にどれくらい勉強するかを「時間の長さ」ではなく「量」で決めることも大切です。たとえば、「1日に1レッスンを終わらせる」という具合にです。(179ページより) 「時間の長さ」はわかりやすい目安のようにも思えますが、学習の充実度が高かろうと低かろうと「きょうもクリアした」と見なしてしまうという落とし穴があるのも事実。 「毎日、30分勉強する」といった決め方だと、その30分をダラダラ過ごしてしまうかもしれず、「毎日、勉強時間を確保しているのにぜんぜん上達しない」ということにもなりかねないわけです。 しかし、1日に決まった量を学ぶことにすれば、そうした自体を避けられるはず。「きょうはこのフレーズを覚えた」「この会話文を理解した」「この文法を覚えた」というような達成感を得られることも、継続の推進力になるということです。(178ページより) *Pimsleur:語学学習アプリ
「やる気」より「環境づくり」が大事
強い意志を持って外国語学種を始めたとしても、当初のモチベーションを維持することはなかなか難しいもの。もちろん、それは著者も同じであるようです。とくに、学び始めて少し経ったころはモチベーションが下がりやすい時期でもあり、そんなとき、いかに一定のペースで学習を進めるかが常に課題となっているというのです。 しかし最終的に、「そもそもモチベーションに頼らないほうがいい」という答えに行き着いたのだといいます。モチベーションは心理的なものであり、人の心理は移り変わるもの。ひとつのかたちにとどめておくことなどできないので、そんな不確かなものに頼ろうとすること自体が難しいのではないかと思い至ったわけです。 飽くことなく外国語学習を続けるには、おそらく「モチベーションの高低にかかわらず、気付いたら今日もちょっとはかどっていた」という現象を起こし続けることが重要なのだと思います。(182ページより) そのために重要な意味を持つのが、物理的な環境。モチベーションの高低にかかわらずサッと学習に取りかかれるように、「最初の一歩」のハードルが低い環境をつくっておくべきだということです。 そのために私が実践しているのは、「教材をしまいこまずに、すぐに目につくところに置いておく」「学習に使用しているYouTubeチャンネルのページを開きっぱなしにしておく」「音声教材をダウンロードしてすぐに再生できるようにしておく」といったことです。(182~183ページより) また、可能な限り「学習中の言語で日常生活を満たす」こと。それがうまく作用すればするほど、習得は早くなります。重要なのは、日々の「遊び」に組み込んでしまうなど、その言語に触れるハードルを極力低くすることです。(184ページより) 難しさや苦しみを伴う習慣は、たいてい長続きしないもの。そこで、日常生活の内部に「その言語が頭のなかにある状態」を可能な限り多くつくるようにする。そうすれば、無理なく習得が早まるわけです。(180ページより) 著者は自身のことを、決して語学の達人ではないと断言しています。ただ単に、いままで12の言語をほぼ独学で習得するなかで、どのような言語でも「このポイントさえ押さえれば、効果的に身につけられる」というコツをつかみ、実践してきただけなのだと。そんな本書で明らかにされているメソッドを取り入れ、外国語習得を身近なものにしたいところです。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: SBクリエイティブ
印南敦史