YouTubeは格好つける必要がないーー 売れっ子から失踪…カジサックが見つけた居場所
掲げた「芸人引退」その裏にある自信
もう1つの「カメラ目線」というのもYouTuberの大きな特徴である。テレビの世界では、出演者はカメラを意識せずに話すことが普通であり、カメラ目線はタブーとされている。しかし、効果的なタイミングであえてカメラ目線を使う人もいた。 「それが上沼(恵美子)さんと(石橋)貴明さんなんです。あのお二人はわざとカメラ目線で視聴者に話しかけるから、それで距離が縮まるんです。僕もそれを見習って、家で鏡を見ながらカメラ目線の練習をしました」 YouTubeを始めるにあたって梶原は「1年で登録者数100万人突破できなかったら芸人を引退する」と宣言した。無謀な挑戦だと思う人も多かったが、梶原がこの壮大な目標を掲げたのは、それだけ自信があったからだ。 「マジで絶対成功すると思っていたんです。それに目標を決めたほうががんばれるじゃないですか。無謀だと非難されても、注目されて見てもらえたらひっくり返せると思っていたんです。だから、今だから言えますけど、1本目の動画でそれを宣言して『YouTubeをなめるな』って批判が殺到して、『Bad(低評価)』が3万8千個ついたときも、本当はめちゃくちゃ喜んでいました」 戦略通りにチャンネル登録者数は順調に伸びていき、1年足らずで100万人を突破した。その後も勢いは止まらない。今では5つのチャンネルを運営する人気YouTuberとなった。 テレビのひな壇では萎縮して何も言えなかったが、YouTubeでは堂々と思ったことが言える。虚勢を張って強がる必要がないので、余分なストレスがない。 先日発表したクラウドファンディングの取りやめについてもこう語る。 「YouTubeで戦うには全部話さないといけないから、格好つける必要がないんですよね。だから、クラウドファンディングで失敗したときにもすぐにやめられたんですよ。間違ったことや失敗したことも何回かありましたけど、そのたびに反省して次に生かすっていうのを続けていけばいいんです」 7月13日には初めての著書『家族。』(ダイヤモンド社)を出版した。梶原は「家族」という言葉を広い意味で使っている。自分の親や妻子だけではなく、相方の西野、YouTubeのスタッフなど、周囲にいるすべての人間が彼にとって大切な家族なのだ。 「僕の人生って本当に人に支えられているんです。YouTubeも登録者数100万人を目指しているときは自分のためにがんばっていたけど、今は本当の家族も増えたし、チームスタッフを幸せにしたいという気持ちがあります」 人を笑顔にするのが自分の仕事。3歳の頃からそう決めていた生まれながらのエンターテイナー。梶原は芸人の世界とYouTuberの世界をつなぐかけ橋となり、笑いを振りまく旅を続けている。