アンゴラ反政府勢力の指導者の遺族がゲーム会社を提訴 法的な問題は?
どんな場合に名誉毀損になる?
このことから、死者への名誉毀損罪が成立するのは次のような場合になります。死者に対する嘘(虚偽)の情報(事実)を不特定多数に流布し、その死者のイメージ(社会的評価)を損なった場合、もしくは損なう危険性があった場合が、その嘘の情報を流した人を処罰することができるのです。また、「ある程度、その死者の社会的評価が定まってしまうと、その後に多少の新事実が分かっても評価は変わらない可能性が高い(浜門弁護士)」ので、社会的評価が固まっていない、亡くなって間もない方の虚偽の事実を流すことで、名誉毀損罪になることが多いようです。
歴史上の人物の場合はどうなる?
これが歴史上の人物の場合だとどうなるのでしょうか? 例えば、織田信長の子孫が、「ここまでひどい残虐性はなかった」などと、名誉毀損罪で訴えられるのでしょうか。浜門弁護士は、「いわゆる教科書に載っているような歴史上の人物であれば、本当にそういう性格だったのか、またはそのような行為をしていたかは今となっては分かりません。さらに、歴史上の人物であれば、既に社会的評価が定まっており、評価が下がることは考えにくいです」と名誉毀損罪に問うことは難しいとしました。
名誉毀損のほかにあり得るのは?
名誉毀損罪以外では、何か法的責任に問われるのでしょうか? 浜門弁護士は、民事上の責任として肖像権やパブリシティ権の侵害の可能性を挙げます。肖像権とは、自己の姿などをみだりに写真や絵画、彫刻などにされない権利です。また、パブリシティ権は、その人に備わっている、顧客吸引力を中核とする経済的な価値を保護する権利です。「広く人格権と言われているものです。それを侵害するような形での扱い方は駄目ですよね。亡くなったからと言って、直ちに権利がなくなるわけではありません。遺族が訴訟等の申し立てをすることはあり得ます(浜門弁護士)」と述べ、死者を勝手に描くことの危険性を指摘します。 死者となれば人権はなくなりますが、だからといって、どのように死者を描いてもいいというわけではないようです。ゲームや小説などで実在の人物を描く場合は、いろいろと注意する点が多いようです。 (ライター・重野真)