広島カープ“史上最悪の失速”で「カープ女子」の姿も減った? 「Aクラス陥落」を乗り越えるための課題は「暑さ対策」以外にも
カープ女子はどこへ?
9月の失速を抜きにしても、マツダスタジアムに集まるファン層が変わってきた。広島は12球団の中でも若い女性ファンが多いことで知られており、彼女たちは「カープ女子」と呼ばれた。チームカラーの「赤」を主体にしたレプリカユニフォームなどのアパレルや応援グッズがウケたのだろう。14年には、「カープ女子」が流行語大賞の候補にノミネートされたほどだ。 NPBのデータによれば、同年の広島主催試合の観客動員数は190万4781人で、1試合平均2万6455人だった。翌15年は211万266人、16年は215万7331人、17年は217万7554人。18年は223万2100人で、19年は222万3619人だった。17年からの3年間は1試合平均でも3万人を超えており、その人気はコロナ禍でイベントへの観覧制限がされるまで続いた。制限が解除された22年は196万8991人で、昨年は200万人台に回復している。 「10月3日時点で、今季の広島の主催観客動員数は205万3660人と発表されました。12球団中8位。1試合平均で2万9338人。主催の最大観客数は3万1710人です」(関係者) 「カープ女子」に沸いた2010年代後半ほどではないにしても、減少幅はさほど大きくない。しかし、「ファン層が変わった」と感じるのは“野球の見方”にあるようだ。 「カープ女子がブームだったころ、野球に詳しいわけでもない、いわゆる“にわかファン”もいました。カープ側の立ち見席がいっぱいだからと、対戦チーム側に陣取ってしまうファンもいたほどです」(ライバル球団スタッフ) 今でもカープに若い女性ファンは多いが、ファッションとしてレプリカユニフォームを着て街中を歩く女性はほとんど見なくなった。その代わり、カープと野球が本当に好きだというファンが、熱心に球場に足を運んでいるのだろう。試合途中で帰る観客の姿を見て末包は悔しさを口にしたが、誰よりも悔しい思いをしているのは、やはり新井監督のはずだ。 「何しろ責任感の強い監督です。サッカー、バスケと“広島三冠“を達成できなかった責任を強く感じていると思います。新井監督が就任した23年当初、ファンの期待はさほど高くありませんでした。でも、新井監督は若い選手を根気強く使い、昨季は2位にチームを引き上げ、地元ファンは『24年は優勝を狙える』と思うようになりました。実際、外国人スラッガーが故障でチームを離れても、勝ち続けて来ました。ここに広島三冠の県民の大きな期待も重なり、9月の歴史的失速がガッカリ感を強めてしまいました」(前出・地元メディア) 9月に入った時点で首位にいたチームがBクラスに転落したのは、NPB史上では初めてとなる。指揮官の責任感の強さから「進退」を心配する声もあったが、球団は新井監督の能力を高く評価しており、来季の続投が決まった。 「チームにホームランバッターがいないに等しいので、しぶとく繋いで点を積み上げていく野球を強いられる。『繋ぐ野球』は広島の伝統スタイルでもありますが、一発で試合の流れを変えることができないので、先発投手が先に点を取られると苦しくなってしまいました。8月は先発陣が踏ん張り、打線も元気だったんですが」(ベテラン記者) 巨人に3タテを喰らった後、「選手がボッ~としていることも多い」との目撃談も聞かれた。熱中症の症状に近い雰囲気だったという。マツダスタジアムに限った話ではないが、屋外球場で行われる試合前の練習中は「暑さ」との戦いになる。午後6時の試合開始から約1時間は陽が落ちてもまだドンヨリとした蒸し暑さが残っていて、ドーム球場を本拠地とする巨人との違いも影響していたようだ。