県内2空港、滑走路延長の必要性強調 吉村知事、訪日客や代替見据え
大型機就航を見据えた山形、庄内の両空港の滑走路延長に関し、吉村美栄子知事は28日、定例記者会見で、インバウンド(訪日客)受け入れ拡大だけではなく、大規模災害で仙台空港が被災した場合の代替空港としての役割もあるとして、延長の必要性を強調した。来年度以降、両空港の機能強化の方向性を示す「将来ビジョン」検討委員会を設置し、費用対効果や財源確保などの議論を進めるとした。 吉村知事は2011年の東日本大震災の際、津波の浸水被害を受けて使用できなくなった仙台空港に代わり、山形空港は24時間体制で稼働し、多くの臨時便が運航された他、自衛隊や米軍などの被災地支援の拠点になったと振り返った。その上で、「有事に備えるには(滑走路2千メートルの)今のままでは狭い」と述べた。「2500メートルの滑走路がないのは東北で山形県だけだ」と訴え、台湾やシンガポールなどからのチャーター便就航の妨げにもなっているとした。
山形で210億円、庄内で400億円に上るとする事業費試算を受け、費用対効果や国庫補助制度を活用した財源確保などの議論を深める必要があるとした。延長に慎重な意見が学識経験者などから上がっている点を踏まえ、「空港を核にしてどういった地域づくりを進めたいか、住民の声を丁寧に聞きながら、将来ビジョンの策定を進める」と述べた。